約 541,617 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4547.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。 ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』17 「さていよいよ、本格的に苦しめる下準備に入りましょっか。 春奈流のゆっくり虐待は手間かかってるよ~。 すごく時間かかるけど、協力お願いね」 「例の「処置」を施した時点で、俺の目的はほとんど達せられたようなものだ。 あとは君に任せるよ」 「はいはい。じゃ、ゆっくり虐待のレクチャーを始めましょ。 圭一さんが前にやっていた方法はね、 スタンダードなんだけど、虐め方としては中の下ってところ」 「そうか」 「ゆっくりを苦しめる方法はいろいろあるけど、 一番効果的なのはやっぱり次の二つ。 「後悔」と「絶望」。 絶望を与える下準備はもうできてるから、後悔のさせかたをお見せします」 「後悔させることが重要なのか」 「それがあるとないとじゃ雲泥の差だねー。 圭一さんのやり方だと、ゆっくりはね、相手を憎むの。 苦しめられるほどにその相手を憎み、 そして、被害者としての自分を憐れむ。 憎悪と自己憐憫、この二つがね、ストレスを発散させちゃうんだな。 プライドの高い生き物だからね、この発散がバカにならないのよ」 「一切発散させずにやるっていうのか」 「そう。そのために必要なのが、後悔。 というわけで、ひとつあたしの手並みを見てってちょーだい」 「ゆっくりしていってね!!」 目覚めた直後、親れいむはすぐに挨拶をした。 「ゆっくりしていってね!!」「ゆっくりしていってね!!」 周囲のゆっくり達から、反応はすぐに帰ってくる。 傍にいるのは、自分を入れて総勢十三匹の家族。 まりさ種もありす種も揃っており、プラチナバッジを見るまでもなく頭の飾りですぐに判別できる。 今後、長浜圭一に飼われていた十三匹のゆっくりについては、 親れいむ、子れいむというように、「親」と「子」をつけて特に表記する。 そのほかにも、大勢のゆっくり達がいた。 れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、ちぇん、どの個体も見知った顔だ。 人間ををペットにしたあの森で知り合った群れだ。 ドスまりさは見当たらなかった。 「ゆっくりしていってね!!」 そう言ってぽんぽん跳ねてきたのは、ゴールドバッジをつけたあのれいむだった。 「ゆゆっ、れいむのおはなし、とってもゆっくりしてたよ!! れいむのおねえさんははんせいしてないてたよ!!」 「ゆゆゆ!あたりまえのことをいっただけだよ!!ゆふぅ~♪」 つい顎を反らしていい気分になる。 すでに話は広まっているらしく、群れのゆっくり達もれいむに駆け寄って賞賛しはじめた。 「れいむったらとってもとかいはなのね!!ほ、ほめてあげてもいいのよ!?」 「わかるよー、ゆっくりはせかいいちゆっくりできるんだねー」 「もうをひらかれたわ!ゆっくりのかくめいよ、むきゅ!」 家族たちや金バッジが、自分が人間に向かってしてあげた説教の内容を群れに伝えたらしい。 「とってもゆっくりできるおはなし」として、群れの皆が感動していた。 親れいむはいまや革命家、ヒーローとなり、一目置かれ尊敬されている。 周囲で飛び跳ね、自分を称賛するゆっくりに囲まれ、 親れいむはいよいよ顎を反らし、ブリッジせんばかりにひん曲った。 「ゆっふぅぅぅ~~~~~ん♪ にんげんさんはばかだから、 あんなかんたんなこともおしえてあげなきゃいけなくてゆっくりできないよ! ゆふんっ♪ゆふんっ♪」 仲間同士でひとしきり盛り上がったあと、親れいむはふと我に返って聞いた。 「ゆっ、ここはどこ?」 そこは見渡す限りの荒野だった。 荒野というよりも岩場。地平線まで無限に続くその荒れた地面には、 ぺんぺん草一本生えておらず、水の気配もない。 しかし、ゆっくりは大勢いた。 自分たちの群れと離れたところに、 ちょうど自分たちと同じ規模の群れが固まっているのが見えた。 他のあらゆる方向にも、ほぼ同じぐらいの間隔を開けて、同規模の群れがいる。 なかば群れのリーダー的な気分になっていた親れいむは、 声をはりあげて、前方にいる群れに向かって挨拶をした。 「ゆっくりしていってね!!」 同時に、向こう側の群れも挨拶をしてきた。 挨拶に挨拶を返すのではなく、まったく同じタイミングで挨拶をしたのだ。 「ゆゆっ!!ゆっくりできるね!!ゆっくりしていってね!!」 そう言い、ゆっくり達が互いに近づいていく。 しばらくの間群れは跳ねながら相手の側に近付いていった。 見ると、自分たちの左右方向にいる群れも、 自分たちと同じように、前方に向かって進んでいるようだった。 突然、先頭のゆっくりが向こう側の先頭のゆっくりに激突した。 「ゆびゃっ!!なんでよけないのおぉぉ!?」 あちこちで激突が繰り返され、互いに罵り合うゆっくり達。 「ゆゆっ!!これはかがみさんだよ!!ゆっくりやめてね!!」 金バッジのれいむが叫んだ。 「ゆっ?なにそれ?ゆっくりおしえてね!」 「かがみさんはきれいなかべさんなんだよ! それで、れいむたちのすがたがみられるんだよ!! ここにうつっているのはれいむたちなんだよ!!ゆっくりりかいしてね!!」 そんな事が、と疑いながらも、 鏡の前で動いているうちに、目の前にいるのが自分の鏡像だということを理解するゆっくり達。 「ゆゆっ!かがみさんはおもしろいよ!!」 「ゆっくりできるね!!」 始めて見る鏡にはしゃぎ、跳ねまわってゆっくり達。 たっぷり一時間は騒いでいたが、 そのうちに、一同は空腹を感じ始めた。 「ゆっくりごはんさんをさがすよ!!」 群れは再び鏡にそって移動しはじめた。 しかし、どこまで行っても岩場と硬い土だらけで、雑草さえも見当たらない。 長い探索を経て、 一見どこまでも広がる荒野に見えたこの土地は、 四方が鏡張りの壁に囲まれた、密閉された空間であることがわかった。 初めは沢山いると見えた群れもどうやらすべては鏡像で、 実際には群れひとつ、自分たちしかここにいないようだった。 当然、どちらを向いても餌になるようなものは一切見受けられない。 「ゆぅ~……ゆっくりできないよ……」 「おなかすいたよ!!かわいいれいむをゆっくりさせてね!!」 「まりさはかりがとくいなんでしょおぉぉ!?はやくごはんさんをあつめてねぇぇ!!」 口々に不平をこぼしはじめるゆっくり達。 空腹はつのるばかりだった。 何時間かが過ぎ、ゆっくり達の不平が頂点に達したころ、状況に変化が現れた。 鏡張りの壁のある一面が、突然ぱっと向こう側の風景を映し出した。 それまでこちらの姿を映しているだけだった壁が、いきなり隣の空間を映し出し、 ゆっくり達の視線は自然とそちらに集まった。 そこは天国だった。 こちら側よりもずっと広く、天井が高い。 そこは階段やしきりがあちこちに配備された多層的な空間になっており、 数多くのゆっくり達がそこかしこにひしめいている。 ふかふかしたクッションの載ったソファや天蓋つきのベッドの上でゆっくり達が心地よさげに眠っている。 ブランコや簡易メリーゴーラウンドやトランポリン、 マットの上で飛び跳ねることでゆっくりでも操作可能な単純なビデオゲームなど、 飼いゆっくりでさえ想像したこともないほど豪華で楽しそうな遊具で、ゆっくり達が遊びに興じている。 床にはとても食べ切れないほどの果物やお菓子が盛られた大皿があり、 小腹がすいたゆっくりが、気の向くままに近づいてはかじりついていった。 ソフトクリームやオレンジジュースのサーバーがあり、 使い慣れたゆっくりは器用にハンドルを操作してコップに注いでいる。 壁の透過に伴い、向こう側の音も伝わってきていた。 家族ですーりすーりしてリラックスしているゆっくり達。 遊具で飛び跳ね、歓声をあげる子ゆっくり達。 室内には、なんだか複雑でよくわからないが、非常にゆっくりできる音楽が流されていた。 そして、そこにいるゆっくり達は、どれもが極上の美ゆっくりだった。 手入れの行き届いたさらさらの髪ともっちりした肌、きらきらした瞳に色鮮やかな髪飾り。 かつて群れの中ではあこがれの的だったゴールドバッジのれいむでさえ、 このゆっくり達を前にすると、急にみすぼらしく思えてきた。 「ゆゆゆうううぅぅ~~~~~………!!!」 群れの全員が、きらきらと目を輝かせて涎をたらす。 これ以上ないゆっくりプレイスの現出。 自分たちもその恩恵に浴することができると全員が確信している。 「ゆっくりしていってね!!!」 群れの全員がガラス壁に駆け寄り、飛び跳ねて挨拶をした。 それは向こう側に伝わったらしく、向こう側のゆっくり達がこちらに視線を向けてくる。 群れのゆっくりはますます声を張り上げて要求した。 「れいむたちもいれてね!!れいむたちはそこでゆっくりするよ!!」 しかし、答えは返ってこなかった。 返答するどころか、不快そうに眉をひそめるもの、 せせら笑うもの、こちらを無視して何事かひそひそ話しているもの、 どれもこれもとても友好的とは言えない反応だった。 苛立ちながら親れいむ達は要求を重ねる。 「ゆゆっ!!きいてるの!?かわいいれいむたちがおなかをすかせてるんだよ!! きこえないの!?ばかなの!?しぬの!?ゆっくりいれてね!!」 叫びながらガラスに体当たりをしはじめたゆっくり達を見ながら、 向こう側のゆっくり達はひとしきり相談したあと、こちらに向かってきた。 「ゆゆゆっ!!れいむたちをいれるきになったんだね!! そこはれいむのゆっくりぷれいすにしてあげるからね!!ゆっくりしていってね!!」 向こう側のゆっくりは、荒野とゆっくりプレイスを隔てるガラス壁の隅まで行き、 そこの扉を開いた。 隅のそこだけは扉になっており、開くようになっていた。 「ゆゆうぅぅ!!」 矢も盾もたまらず、扉に殺到してゆく群れ。 しかし、小さな扉の前に立ちはだかり、そのゆっくり達は言い放った。 「ゆっくりできるね!!」 「ゆゆっ!?」 珍妙な声を受け、群れは戸惑った。 今のは何だろうか。 ひとまず、普段どおりに反応してみる。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりできるね!!」 向こう側のゆっくりは、先ほどと同じ挨拶を繰り返した。 「ゆゆっ!?そのあいさつはへんだよ!!ゆっくりできないよ!!」 「そっちのほうがゆっくりできないよ!ゆっくりりかいしてね!!」 理解し難いことを言ってきた。 なんだこいつらは? 扉から出てきた向こう側のゆっくり達は、 おおよそ総勢十匹程度だった。 種族は、れいむ、まりさ、ありす種の基本三種に加え、希少種もちらほら見受けられる。 図抜けて美しいということを除けば、一見ごく普通の外見だったが、 よく見ると、全員がリボンに特殊な飾りをつけていた。 白く光る銀製のその飾りは、アルファベットのYの形をしている。 「よくわからないけど、さっさとれいむたちをいれてね!!」 「だめだよ!! ここにはいっていいのはにんげんさんと、ゆっくりできるゆっくりだけなんだよ!!」 Yの飾りのまりさがはっきり言い放った。 「ゆゆっ!?うそはゆっくりできないよ!! にんげんさんなんかいないよ!!」 「いまはいないけど、ときどききてくれてゆっくりさせてくれるんだよ!!」 「ゆっ!!どれいにしてるんだね!!」 そう言った瞬間、Y飾りのゆっくり達が大声で怒鳴った。 「どれいじゃないでしょおおおおおお!!!くちをつつしんでねえええぇぇ!!!」 「ごみくずがにんげんさんにそんなくちをきいていいとおもってるのおおおおぉぉ!!?」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!にんげんさんごめんなさいいい!!」 異常なほどの怒りをあらわにして食ってかかってくる。 この場にいもしない人間に向かって詫びはじめるやつまでいた。 「ゆゆゆっ!?にんげんさんなんかにあやま」 「ゆっくりだまってね!!!」 Y飾りのれいむが叫ぶ。 群れのゆっくり達は、その迫力に思わず身をすくませてしまった。 「れいむたちはゆっくりできないね!!ここにはむかえいれられないよ!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおぉぉぉ!!? れいむたちはとってもとってもゆっくりできるんだよおおぉぉぉ!!!」 「どこがゆっくりできるの?」 「みてわからないのおおぉぉぉ!?ばかなのおおぉぉ!?」 「それじゃあ、これからてすとをするよ!!」 Y飾りのまりさが鋭く叫んだ。 同時に、固まっていた十数匹のY飾りのゆっくり達が散らばって移動し、 品定めするように群れの先頭にいた親れいむを取り囲んだ。 「ゆゆっ?てすと?」 「れいむたちがほんとうにゆっくりできるゆっくりかどうかてすとをするよ。 れいむたちがみんなをゆっくりさせられたら、ゆっくりぷれいすにいれてあげるよ!」 「ゆゆっ!!かんたんだよぉ!!」 「それじゃあ、みんなをゆっくりさせてね!! ゆっくりはじめてね!!」 「ゆゆゆっ!!」 テストが始まり、親れいむは気合いを入れた。 「がんばってね!!がんばってね!!」 「ゆっくりぷれいす!!ゆっくりぷれいす!!」 群れの仲間たちが応援している。 全力でこいつらをゆっくりさせてやる。れいむは意思を固め、行動に移った。 「ゆっくりしていってね!!!」 全身にゆっくりパワーを漲らせた、渾身の挨拶だった。 顔に浮かべた笑みも、飛び跳ねる高さも、これまででの自己ベストを叩きだしたという自信があった。 親れいむは勝利を確信した。 しかし、帰ってきたのは冷たい沈黙だった。 Y飾りのゆっくり達は、誰もが冷やかな無表情で親れいむを眺めている。 「ゆゆゆっ!?」 取り囲むY飾り達を前にきょろきょろして狼狽する親れいむ。 どうしたのだ。 もしかしてよく見ていなかったのだろうか。そうだ、そうに違いない。せっかくの渾身の挨拶を。 腹が立ったが、それより空腹のほうがせっぱつまっていたので、 さっさと終わらせるべく親れいむは再度挑戦した。 「ゆっくりしていってね!!!」 それでも、帰ってきたのは失笑だけだった。 そればかりか、Y飾りのまりさが言い放ってきた。 「はやくゆっくりさせてね!てすとはもうはじまってるよ!!」 「ゆゆゆっ!?なんでゆっくりしないのおぉぉ!!?」 「ゆっ?もしかして、いまのがゆっくりさせてたの?!」 不思議そうに聞き返され、親れいむは屈辱に赤面した。 今まで、あの挨拶をされたゆっくりは皆が笑顔で挨拶を返してくれた。 れいむの可愛い挨拶を見れば、誰もがゆっくりするはずなのだ。 その確信が、今揺らぎはじめていた。 「れいむはゆっくりできないね!しっかくだよ!!」 「ゆゆゆぅぅぅ!!?まってね!!まってね!! かわいいれいむのゆっくりしたあいさつだよ!!こんどはほんきだよ!!」 三度目の、渾身の「ゆっくりしていってね!!!!」。 こんなにゆっくりできる挨拶は、本来、心を許した親友や家族にしか見せない。 しかし、返ってきたのは侮蔑と嘲笑だった。 「れいむ。ぜんっぜんかわいくないよ」 「じぶんのことをかわいいとおもってるんだねー、わかるよー」 「いたいたしいね……」 「みてるほうがつらいから、もうやらないでね。ごめんね」 親れいむは顔中を真赤にして涙を浮かべていた。 「ゆ………ゆ………」 恥辱と悔しさに歯軋りし、とめどなく涙があふれ出す。 生涯最高の屈辱だった。 「泣いてる、泣いてる。効くねえ」 「こんな顔は初めて見るな。子供を殺してみせた時でさえ、こんな表情は見られなかった」 「この前確認したとおり、ゆっくりにとっては可愛さが最高の価値観であり存在意義なの。 ゆっくりが可愛いからこそ他の生き物はゆっくりしている、だからゆっくりが一番偉いと信じてるぐらいだから、 可愛くない、ゆっくりできない、と言われるのがゆっくりには何よりの苦痛なんだね」 「同じゆっくりに言わせる、というのがやっぱり重要なんだな。 人間が言ってやったところで一蹴されるだろうし」 「しかも、言ってるのは極上の美ゆっくり達だもんね。 そんな相手に言われちゃ反論もできない。 自分の存在価値を全否定されるというのは、人間だったら自我が崩壊するくらいの苦しみだろうねー」 その他にも、自信家のゆっくり達が何匹か挑戦したが、 どのゆっくりの挨拶も侮蔑と冷笑で応えられ、屈辱に歯噛みすることになった。 ついにはY飾りのまりさが宣告した。 「あいさつはもういいよ!! それしかできないならゆっくりできないね!ゆっくりぷれいすにはいれられないよ!!」 「ゆゆううううぅぅぅぅ!!?」 群れに背を向け、ゆっくりプレイスに戻っていこうとするY飾り達。 親れいむが必死になって呼び止めた。 「ゆ、ゆっくりまってねぇ!! まだあるよ!!れいむはとってもゆっくりできるんだよ!!」 「あいさつならもういいよ!」 大義そうに振り返るY飾り達に、親れいむは跳び上がって言い放った。 「れいむはゆっくりできるおうたがうたえるよ!!」 「ゆゆっ!?」 Y飾りの目の色が変わる。 「おうたがうたえるゆっくりはとかいはよ!!むしできないわね!!」 「それをはやくいってね!!まりさたちもおうたがだいすきなんだよ!!」 「ゆゆっ、どんなおうたかたのしみね!!」 「おうたはゆっくりできるよ!!てすとをさいかいするよ!!」 いそいそと親れいむを取り囲み直すY飾り達。 余程歌が好きらしく、期待に目を輝かせている。 その反応を見て、得たりとばかりに親れいむは顎を反らした。 「ゆっふっふ!!れいむのびせいによいしれていってね!!」 早くも勝ち誇り、親れいむは歌いはじめた。 「ゆっゆっゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪ゆ~ゆ~ゆゆゆ~♪ゆゆゆ~ゆっくり~♪」 群れのゆっくり達が、親れいむの歌に合わせて体を揺らしてリズムをとっている。 いつもながらの自らの美声に陶然となり、親れいむはますます声をはりあげた。 「ゆっくり~のひ~♪すっきり~のひ~♪まったり~のひ~♪」 目を閉じながら自らの音韻に心身をゆだねて歌い続ける。 「ゆっゆゆ~ゆゆ♪ゆっゆっゆ~♪ゆっくり~ゆっくり~♪」 喉の調子は最高だ。 これならこのY飾り達もゆっくりせざるをえまい。 山場にさしかかり、親れいむは片目を薄く開けて観客の反応を確かめた。 これ以上ないほどローテンションの無表情がれいむを取り囲んでいた。 「ゆ、ゆゆゆっ?」 思わず歌を中断してしまった。 うっとり聞き惚れているはずのゆっくり達が、全くゆっくりしていない。 親れいむの心に、再び不安の影が差し始める。 親れいむが歌いやめたのを見て、先頭のY飾りまりさが面倒臭そうに言った。 「れいむ。それはなに?」 「ゆゆっ!?おうたでしょおぉ!?」 「…………ゆっくりわかったよ……」 Y飾りまりさは深いため息をひとつつくと、仲間たちとひそひそ話し始めた。 どのY飾りもゆっくりしていない、不快そうな顔で喋っている。 親れいむは、冷や汗が自らの全身をつたうのを感じた。 やがてYまりさが向きなおって言った。 「れいむ。れいむはおうたをしらないんだね?」 「ゆゆゆっ!?なにいってるのおぉ!?れいむはおうたがとくいなんだよおぉ!?」 「まりさ。もういいわ、ほっときましょう」 「いなかものにきたいしたありすがばかだったわ」 Y飾り達の会話に、れいむは再び赤面する。 Yまりさが言い渡した。 「おうたはこうやるんだよ。みんな、じゅんびしてね!」 たちまち、Y飾りのゆっくり達が散開して扇型に並び直した。 居並ぶY飾り達の前方にYまりさが向かい合って立つ。 おさげには妙な棒を握っていた。 Yまりさが棒をひと振りすると、Y飾り達がいっせいに歌い始めた。 群れのゆっくり達を衝撃が襲う。 それは音の乱舞だった。 Y飾り達が声をあげ、転がし、跳ね、躍らせる。 まりさの振るタクトに合わせ、あちらのゆっくりが歌えばこちらのゆっくりが休む。 何重にも重なる音階とリズムが繰り広げるメロディーの洪水。 それらの音韻はゆっくり達をおののかせた。 歌い終え、Yまりさが振り返って言った。 「これがおうただよ。「じーせんじょうのありあ」っていうんだよ」 よくわからない。 ゆっくりできた、というわけでもないが、 その歌を前にした親れいむは、 自分のがなり立てていた雑音がたまらなく恥ずかしくなっていた。 自分が歌だと思っていたのは何だったのだろう。 「もういちどきくよ。れいむはなにがうたえるの?」 「ゆ……ゆ……れいむ…れいむは………」 親れいむはまた涙目で赤面し、へどもどと口を濁すしかなかった。 見切りをつけ、Y飾り達が再び戻ろうとする。 しかしまた、それを呼び止める者がいた。 親まりさだった。 「ゆっへっへ!まりささまがほんきをだすときがきたようなんだぜぇ!!」 「……まりさはゆっくりできるの?」 「ぐもんなんだぜ!!まりさいじょうにゆっくりできるゆっくりはいないんだぜ!!」 「どうゆっくりできるのかいってね!」 「まりささまはとってもつよいんだぜ!!つよいまりささまがおまえたちをまもってやるのぜ!! まりささまがまもってやってるからこのむれはゆっくりできるんだぜえ!!」 群れのほうから不平の声がいくつかあがったが、親まりさはまるで聞いていない。 Y飾りのまりさが答えた。 「ゆっ、じゃあまりさのつよさをてすとするよ! まりさたちのだれかとたたかってかったら、ゆっくりできるとみとめてあげるよ!!」 「ゆっへっへっへ!!さっさとするんだぜええ!!」 Y飾り達が顔を突き合わせて相談していると、一際高い声が上がった。 「むきゅ!!ぱちゅりーがいきゅわ!!」 「はああぁぁぁ~~?」 親まりさが唇をゆがめていると、そのぱちゅりーが前に進み出てきた。 Y飾りをつけたそのぱちゅりーは、年端もいかない子ゆっくりだった。 ゆっくりの中でも特別脆弱なぱちゅりー種の、それも子供。 意外な挑戦者の登場に、群れが騒ぎ出す。 「ゆゆっ!!あぶないよ!!やめてね!!」 「ゆっくりごろしはみたくないよー、わかってねー」 Y飾りの側も騒いでいた。 「ぱちゅりー!ゆっくりかんがえなおしてね!!あぶないよ!!」 「ぱちゅりーはまだこどもでしょおぉ!?おかあさんにまかせておきなさい、むきゅ!!」 「しんぴゃいいらにゃいわよ!!ぱちゅりーはもうおとにゃなのよ!!」 「ゆっへっへっへっへ!!とりけしはきかないんだぜええ!! いちどやるといったからにはさいごまでやるのがゆっくりできるのぜええ!!」 親まりさは得たりとばかりにY子ぱちゅりーににじり寄った。 なんだか知らないが、勝てばテストに合格できるのだ。 「ちゃんすをみのがすほどまりさはばかじゃないんだぜえ!!ゆっへっへっへえ!!」 「ゆ、しかたないよ………」 Yまりさがあきらめたようにうなだれた。 「それじゃあ、ゆっくりはじめ………」 「ゆっくりしね!!!」 開始が宣せられる前に、親まりさはつっかけていた。 大きく跳び、Yまりさのほうを向いていたY子ぱちゅりーにのしかかる。 Y子ぱちゅりーは親まりさの下敷きになって見えなくなってしまった。 「やったのぜ!!かったのぜ!!しとめたのぜぇ!! げらげらげらげら!!やるっていったのはそっちなんだぜぇぇ!!!」 「………ゆっくりはじめてね」 Yまりさが、改めてテストの開始を宣告した。 「ゆっ?もうおわっt」 「むっきゅ!!」 親まりさは、ひねりを加えて高々と投げ飛ばされた。 きりもみながら頭から地面に激突し、 状況が理解できないまま激痛に身もだえる。 「ゆがあああぁぁ!!いたいのぜえええぇぇ!!」 「むっきゅうぅん!!」 横っ面に体当たりを受け、親まりさは再び大きくバウンドして転がった。 欠けた歯を吐き出し、泣き叫ぶ一方で、親まりさの視界は向かってくる相手を捉えていた。 まごうかたなき、それはY子ぱちゅりー。 「なんなのぜええええぇぇ!!?」 「むっきゅりしにぇ!!」 猛烈な頭突きを顔面の中心に受け、親まりさはさらに吹っ飛んだ。 Y子ぱちゅりーは縦横無尽に飛び回り、その後も親まりさを蹂躙しつづけた。 親まりさはほぼ無抵抗で、泣き叫びながら逃げ惑うばかりだった。 群れは呆然とそれを眺め、Y飾りのほうは焦って騒いでいる。 「やっぱりぃ!!こどもだからてかげんができてないよ!!」 「むきゅ!!ぱちゅりー、もうやめなさい!!しんじゃうでしょおぉ!?」 「こにょまりちゃはひきょうなてをつかっちゃわ!! にゃにをされちぇももんきゅはいえにゃいわよ!!むきゅ!!」 「いいかげんにしてね!!にんげんさんにおこられるよ!!」 「むきゅっ!!」 Yまりさに叱りつけられ、Y子ぱちゅりーはしおらしくなって仲間の元に帰った。 「むきゅう、ごめんなしゃい……」 「わかればいいんだよ!よくやったね!!」 群れは言葉もなく立ち尽くしているばかりだった。 親まりさのほうは、また何本も歯を折られ、傷だらけでゆっゆっ呻いていた。 「とかいはなありすがゆっくりさせてあげるわ!!」 次に進み出たのは親ありすだった。 「……ありすはどうやってゆっくりさせるつもり?」 「ゆふんっ!!」 親ありすは顎を反らした。 その顎の中心ではぺにぺにが屹立している。 「ありすのとかいはなてくにっくですっきりさせてあげるわ!! ありすのあいをうけたゆっくりはとってもゆっくりできるのよ!!」 「…………」 Y飾り達が軽蔑の視線で親ありすを眺めているが、親ありすは頓着する様子はない。 「ゆふふ、みんなつんでれさんねええ!! はずかしがらなくていいのよ?!えんりょなくとびこんでいらっしゃああい!!」 「……ちょっとだまっててね」 Y飾り達が再び相談し、結果、また一匹が選び出されて進み出た。 「まりしゃをしゅっきりさせちぇね!!」 進み出てきたY飾りのまりさは、またも子ゆっくりだった。 早くもぺにぺにから先走り汁を垂らし、親ありすは猛り狂った。 「ゆっほほほほおおおおおおお!!」 「それじゃあてすとをはじ」 「こどもまむまむこどもまむまむこどもまむまむうううううぅぅぅぅ!!!!」 はやくも理性を飛ばし、先ほどの親まりさと同じく開始宣告前につっかける親ありす。 激突するようにY子まりさに密着し、素早くへこへこと顎を振り始める。 Y飾り達はこれ以上ないほどの蔑みの視線で眺めていた。 群れの仲間たちの中にも目をそらす者は多かった。 「んほっほっほっほほほほおおおおお!!! まりさかわいいよまりさああああああ!!! まりさのおはだすべすべでとってもとかいはよおぉぉぉ!!!」 涎と体液をまき散らしながらピストン運動を速める。 手入れの行き届いたY子まりさの肌は親ありすの快感を著しく高め、 早くも絶頂が訪れようとしていた。 「いぐ!いぐいぐいぐいぐいぐぅぅぅ!! あでぃずのどがいばなあいをうげどっでねえええぇぇぇ!!! す!!すすすすすすっきりいいいぃぃーーーーーーーーーーー!!!」 絶叫しながらびくんびくんと痙攣する親ありす。 絶頂を迎えてようやく余裕ができた親ありすは、Y子まりさを見下ろしながら声をかけた。 「ゆふう、ゆふう……まだまだあいしあいましょうねえ……?」 「………………」 親ありすはぎょっとした。 Y子まりさは妊娠もせず、冷めた目でありすを見上げているだけだった。 「ゆゆゆっ!?まりさったらつんでれさんねえええ!! すなおにかんじてもいいのよおおおおぉ!!」 「……にゃにしてるにょ?」 「ゆっ!?」 親ありすの目元に狼狽が浮かぶ。 「と、とかいはなあいにきまってるじゃない!!いわせるなんてやぼないなかものね!!」 「まりしゃ、しゅっきりちてにゃいよ。 しゅっきりならはやきゅちてにぇ」 「も、も、も、もちろんよおおぉぉぉ!! こんどはほんきであいしてあげるわあああぁ!!!」 言うが早いか、屹立したぺにぺにをY子まりさのまむまむにつき立てて顎をふり始める。 再び涎をまき散らし、親ありすは極楽浄土の快楽に身をゆだねた。 Y子まりさの胎内に精子カスタードを放出し、親ありすは愛の成就を確信した。 「ゆふう………ありすのあかちゃん、だいじにそだててね!!」 「あかちゃんってにゃに?」 Y子まりさはやはり冷めた目で眺めていた。 「ゆゆゆっ!?」 ゆっくりの交尾は、互いがすっきりすることでにんっしんっする。 仮に意にそまない強姦であっても、性欲が高く感じやすいゆっくり種はたやすくオーガズムに達し、 ほぼ100%の確率でにんっしんっに至る。 しかし、Y子まりさはにんっしんっしていなかった。 すっきりしていないのだ。 それどころか、親ありすの粘液にまみれながら、自身は粘液の一滴もしたたらせていない。 「よだれをまきちらしてるよ。みっともないね……」 「あんなけだものがとかいはをなのってるの?いなかはそうぞうをぜっするわね」 「ひとりよがりなおなにーなんだねー、わかるよー」 「せんずりー!!」 Y飾り達が蔑んでいる。 親ありすはうろたえたが、すぐに気を取り直した。 「ゆふふ!!まりさはちょっとつんぞくせいがつよすぎるわね!! ありすのてくにっくではやくでれなさああああい!!」 まむまむに舌を這わせ、体をからみつかせ、 かつて人間に教わったあらゆるテクニックを駆使して親ありすはY子まりさを責める。 しかし、どれだけやってもY子まりさには快感のきざしさえ見受けられなかった。 親ありすばかりがすっきりし、無為に精子カスタードを吐き散らすばかりだった。 「ゆふう……ゆふう……なんでえええ……… ぜつりんすぎるわああああ………」 「もういいよ!!きもちわりゅいだけだっちゃよ!!」 Y子まりさは苛立って叫んだ。 「ありしゅはじぇんじぇんへたくちょだにぇ!! しゅっきりはこうやりゅんだよ!!」 Y子まりさは舌を伸ばし、親ありすの体に這わせた。 「ゆふんっ」とよがり出す親ありすの体を慎重に丹念に調べていき、 親ありすの反応が強くなる部分を確かめると、 その性感帯を、バイブレーターのように舌を動かして攻めはじめた。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆほほほほほほほほほおおおおおお!!!」 たちどころに親ありすはすっきりさせられた。 それでも休むことなく、Y子まりさの舌は別の性感帯を探り当て、再び振動を始める。 「ゆっほほほほほおおおお!!!ずっぎりいいいいいぼうやめでええええええ!!!」 子ゆっくりに、しかも舌だけですっきりさせられるという屈辱に顔を歪めながら、 衆目の注視のもと、親ありすはのたうちまわりながら何十回もすっきりさせられた。 自らの精子カスタードの海の中でぐったりしている親ありすに向かって、 Y子まりさは言い放った。 「こりぇはいちびゃんきほんてきにゃてくにっきゅだよ! こんにゃのでこんにゃにしゅっきりしゅるゆっきゅりははぢめちぇだよ!!」 Y飾り達がせせら笑った。 恥辱に歯噛みする親ありす。 「ありしゅのきゃお、しゅっごくばきゃみたいだっちゃよ。 ちょきゃいはにゃあいをうけちょっちぇにぇええええ~~!!」 親ありすの顔真似をして、 子まりさは歯をむき出し舌をへろへろさせてみせる。 Y飾り達ばかりか、群れのゆっくりまでが笑いだした。 「ありしゅはちょっちぇもちょかいはだにぇ!! こんにゃにわらわしぇちぇくれちゃもんにぇ!! でみょ、でおちだきゃらもうにどとやらにゃくちぇいいきゃらにぇ!!」 笑いながら、子まりさは群れの元に帰っていった。 親ありすは地面に突っ伏して泣きじゃくっていた。 「ぱちゅりーはもりのけんじゃなのよ!」 最後に叫んだのは、群れの参謀役を務めていたぱちゅりーだった。 「……ぱちゅりーはなにができるの?」 「ぱちゅりーのちしきはぼうだいなのよ。 このほうふなちしきで、ぱちゅりーはむれをゆっくりさせてきたわ。 あなたたちもゆっくりさせてあげられるわよ!」 「はいはいゆっくりゆっくり……」 いい加減うんざりしているらしいY飾り達だったが、 それでもまた相談を始めた。 群れの中から選ばれて進み出たのは、またも子ゆっくり。 「じゃおおおおおん!!」 めーりん種だった。 「むきゅぅぅ!?」 「このこよりちしきがあったら、ゆっくりできるとみとめてあげるよ!!」 「むきゅう!ばかにしないでよ!」 ぱちゅりーは怒った。 子ゆっくりの、それもめーりん。 めーりん種は希少種の一角だが、 「じゃおーん」という鳴き声しか発せられないために、 ゆっくりの中では蔑まれ、苛められている。 そんなめーりんと知恵比べをさせられるという状況が、 ぱちゅりーのプライドを傷つけていた。 「こんなばかがぱちゅりーのあいてになるわけないでしょ!? しょうぶするならほかのにしなさいよ!」 「はいはい、はじめるよ。 まりさがしつもんをするからゆっくりこたえてね!!」 そう言い、Yまりさが二匹の前に立った。 「それじゃだいいちもんだよ!! 「みろのびーなす」のみろは、なにからつけられたなまえ?」 「むきゅ?」 ぱちゅりーは首をかしげた。みろのびー、何? 何を言ってるのかよくわからない。 隣では、Y子めーりんが鉛筆を咥えてスケッチブックに何か書きつけていた。 書きつけたスケッチブックを差し上げ、Y子めーりんが高らかに叫ぶ。 「じゃおおおん!!」 スケッチブックには、「発見された島の名前」と書いてあった。 「ゆっ!めーりん、せいかいだよ!!」 「じゃおおおぉん!!」 「ま、ま、まちなさいよ!」 ぱちゅりーは叫んだ。 「も、もんだいのいみがわからないわ!ひきょうよ!」 「なにがひきょうなの?」 「いみがわからないって……まさか、みろのびーなすをしらないの?!」 心底驚いたという風で聞き返してくるY飾り達。 ぱちゅりーは言葉につまり、必死に取り繕った。 「ちょ、ちょっとめんくらっただけよ! こどもあいてだからようすをみたのよ!」 「そうだよね!!つぎはほんきをみせてね!! だいにもんだよ!! せかいいちめんせきのひろいさばくは?」 さばく? その意味をなんとか推測しようとしているうちに、 Y子めーりんがまたもスケッチブックを差し上げて叫んだ。 「じゃおおおん!!」 「さはらさばく!めーりん、せいかいだよ!!」 「むっきゅうううぅぅ!!?」 その後、何回にもわたってぱちゅりーの自信は粉々にされていった。 「せかいしぜんいさんにはじめてにんていされたのはどこ?」 「がらぱごすしょとう!めーりん、せいかいだよ!!」 「えんしゅうりつの、しょうすうてんだいじゅういのすうじは?」 「ご!めーりん、せいかいだよ!!」 「せかいでいいちばんながいきょくはなに?そのえんそうじかんは?」 「えりっく・さてぃの「う゛ぇくさしおん」、じゅうはちじかん!めーりん、せいかいだよ!!」 「ぱちゅりー、さっきからぜんぜんこたえてないよ!!どうしたの!?」 「む、む、むきゅうぅ……!」 「もしかしてひとつもわからないの!?」 ぱちゅりーは涙目になり、ぎりぎりと歯を食いしばるしかなかった。 「………ゆっくりわかったよ。もういいよ。 めーりん、もどってきてね。よくやったね!」 「じゃおーん」 テンションの低い鳴き声を上げ、 いかにも無駄な時間を過ごしたというようにY子めーりんは仲間の元に跳ねていった。 「ほかにゆっくりできることはないの?」 Yまりさが群れを見渡したが、もはや答えるものはいなかった。 何をしようとせせら笑われるだけだとわかった今、 挑戦しようという気概はすでに消え去っていた。 「ゆ、ぜんぜんだめだったね。 かわいくないし、おうたもしらないし、よわいし、すっきりもへただし、あたまもわるいよ。 そんなんでだれをゆっくりさせるつもりなの? そんなゆっくりできないいきものはなかにいれられないよ!!」 群れのいずれもが、プライドを完全に破壊されて泣きじゃくっていた。 その後、群れは泣き喚いて懇願したが、 Y飾り達に体当たりを受けて転がされ、拒絶された。 扉は閉まり、ほどなくしてガラスの壁は元の鏡に戻ってしまった その晩、群れは岩場の真ん中ですすり泣きながら眠った。 「よしよし、うまくいってるね」 「おいおい、なんなんだ、このゆっくり共は……」 「ハーバード大学のほうで実験してたゆっくりでね、 ま、ちょろちょろっと改造してみただけ。 ゆっくりの潜在能力っていうのはすごくてね、 ちょっとリミットをいじってやるだけでいくらでもすごい事ができるようになるよ」 「言葉もないな」 「このゆっくり達を使って、自尊心と価値観を徹底的に壊し、洗浄する。 まずこれをやっておかないと、何を教えようとしても無駄だからね。 第一段階は順調ってとこかな」 続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2239.html
「たっだいまぁ♪」 と言いながら誰もいない家に帰ってきたのはあるお姉さん。 仕事から帰ったばかりで疲れているはずなのに、今日のお姉さんはやけに明るい。 その原因は今日の晩御飯、大好物のとんかつである。それはお皿の上にくれらっぷでくるんで置いてある。 お姉さんは仕事から帰ってから、必ず規則正しく7時30分からテレビを観る。 帰宅が7時頃になるお姉さんは、帰ってから夕飯を作っていたのでは間に合わないのだ。 それでお姉さんは日課へのこだわりとして、毎朝夕飯を作っている。河童印のラップのおかげで保温はもちろん、味だってばっちりだ。 しかし、そのるんるん気分と日課はあっけなく壊されることになる。 「ゆっくりしていってね!!!」 と叫ぶゆっくりがいた。それを見たとたん、お姉さんはへなへなと床に崩れ落ちる。 なんととんかつがきれいに片付けられてしまっているではないか。 「ここはれいむのおうちだよ!しらないおねーさんはごはんをおいてさっさとどっかいってね!!!」 「このさくさくはすごくおいしかったよ!だからかわいいれいむにもっとさくさくをもってきてね!!!」 ゆっくりれいむがなんかほざいているが、お姉さんには聞こえていない。 一か月に一回の楽しみだったのに! パン粉だってこだわって小麦からつくったのに! お肉だって最高級の奴を買ってきたのに! この日の為にソースだって新しいのをかけておいたのに! ん…、ソース………? 「おねーさん!はやくれいむにあのさくさくをもってきてね!!!いわなきゃわかんないなんておねーさんはぐずだね!!!」 ソース…。……フフ………。 お姉さんは声もあげずわずかに笑いながら立ち上がり、家を後にした。 (ゆっへっへ!さくさくを取りにいったね!このばかなおねーさんはりようできるね!まいにちあのさくさくをもってこさせるよ!) どうやらこのれいむにはゲスの素質があるようだ。 お姉さんは10分もかからず帰ってきた。何やらたくさんの小袋を箱詰めにして運んでいる。 「ゆゆ!おねーさんおそいよ!れいむをまたせるなんてゆっくりしすぎだよ!!!」 お姉さんは聞いちゃいない。箱から小袋を取り出し、開封し、れいむに差し出す。当然れいむはゆっくりならざる速さで飛びかかる。 「はふはふ!うっめ!めっちゃうめえ!ぱねえ!」 あっという間も無く完食した。 お姉さんが箱買いしてきたのはとんかつを模した30円の伝説の駄菓子、「ゆッグカツ」である。意外とソース味が濃く、実にリアル。 だがそれは駄菓子。肉ではなく魚のすり身を揚げた物なのだが、ゆっくりブレインでは気づくはずがない。 とんかつを大量に買い込む金などないお姉さんはそう踏んで、わざわざ「ゆッグカツ」を買い込んできたのだ。 「ゆゆ!おねーさんはゆっくりできるね!おれいにれいむにさくさくをまいにちもってこさせてあげるよ!!!」 いやお礼にもなってないし。そう突っ込むのをこらえ、お姉さんはれいむに初めて声をかける。 「ええ。そうさせてもらうわ。」 れいむはゆへーん!とえばりながら体を膨らませた。お姉さんはそれを見て、またもやわずかな笑いをみせた。 (フフ…。あなたがそのサクサクの味に悶えるのはいつかしら…。) 次の日の朝。 お姉さんが起床するなりれいむはゆッグカツを要求したのでお姉さんは言われるままに台所に行き、お皿の上にゆッグカツを几帳面に乗せる。 だがそこから。お姉さんはゆッグカツにソースを少しだけ追加してかられいむに差し出す。 もちろん、仕事に行っている間に部屋を汚されてはたまらないので床一面に文々。新聞を敷き、高いところのものは全部片付けた。 そうして彼女は出勤する。お姉さんを見送ったれいむはゆッグカツに行儀悪くかぶりつく。 (せいぜい今のうちに楽しむといいわ…。) その次の日の朝。 お姉さんは昨日よりもさらにもう少しソースを増やしてれいむに差し出した。 その次の日もソースを増やす。 また次の日もソースを増やす。 そのまた次の日もソースを増やす。 さらに次の日もソースを増やす。 さらにその次の日もソースを増やす。 さらにそのまた次の日もソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 れいむは、日に日に真黒になって出てくるゆッグカツに気づくよしもなかった。 そんなある日。 「ゆゆ!おねえさん、れいむのどがかわいたよ!さっさとおみずをもってきてね!!!」 れいむはお姉さんが持ってきた水に口をつける。 「ごーくご……ゆぼぶえぇっ!!??このおみずまずいよ!こんなののめないよ!おいしいおみずをもってきてね!!!」 毎日毎日味の濃いソースカツ(もどき)を食べていたれいむにただの水が飲めるはずがなかった。 「そう…。じゃあこれは?」お姉さんは何やら黒い液体を器に少しそそぐ。 「ゆゆ?なにそのおみずは!」 「これはね…、”そーす”っていう飲み物なの。おいしいから飲んでみて。」 れいむは半信半疑で未知の飲み物、”そーす”を口に流し込む。 「ゆゆ!さくさくとおなじあじがしておいしいよ!これからはあのさくさくとこのそーすをいっしょにもってきてね!!!」 れいむは喉の渇きも忘れてそう喜んだ。 しかし、れいむの舌は強いソースの味に冒され、完全におかしくなっていた。 お姉さんの笑いはゆっくり、少しづつ、大きくなっていった。 さらにさらに次の日。 (ウフフ…。そろそろとどめといきましょうか……。) お姉さんはゆッグカツにソースをかけずにれいむに差し出した。 「むーしゃむー……ひ、ひぎい゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!???」 今までと比べて明らかに薄い味付けに、れいむは耐えられなかった。 「ぢょっ゛ど!!れ゛い゛む゛に゛ごん゛な゛も゛の゛を゛だべざぜる゛な゛ん゛でどう゛ゆ゛う゛づも゛り゛!!!!!」 「あれ?おいしくなかった?じゃあソースを飲んでお口直しをしなくちゃね。」 お姉さんはソースを二、三本まるまると持ってくる。 れいむは早くふしあわせーな気持ちから逃れるため、大量のソースを一気に、ラッパ飲みした。 「ごーくごーく、しあわゆ、ゆぎゃあ゛あ゛あ゛!!!の゛どが!!の゛どががわ゛い゛だよ゛お゛お゛!!!も゛っどぞーず、ぞーずも゛っでぎでぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 塩分の高いものを一気に摂取したせいで、れいむの血中濃度ならぬ、餡中濃度が極端に上がってしまった。 その濃くなった餡子を薄めるため、体が水分を求めているのだ。餡子が失われたわけではないのでこれで死ぬことはない、多分。 お姉さんは悶えるれいむを見るなり、まるでエステの受付嬢のごとくさわやかな笑顔で、優しい口調で声をかける。 「あれー?ソースいっぱい飲んだのにどうしてかなぁー?もっと持ってくるね。」 れいむの前にさらに数十本のソースが置かれる。 まさか自分で自分の首(?)を絞めているとも思わず、のどを潤すためにソースを飲み干すれいむ。しかし当然 「どぼじでの゛どががわ゛ぐの゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」 お姉さんは笑いをこらえるのに必死である。ク…クッ……とすでに笑いが漏れかけている。 「喉っ…ック…かわっ…いたならっ……、み…水…、…プッ…の…飲む…?」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛!!!お゛み゛ずはい゛や゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「そっ…なっら……どうしようも…ないっね…」 その後もソースを飲み続けてさーすてぃーな気持ちになったれいむは、食事をするどころではなかった。 そして、最後まで喉の渇きに苦しみ、悲鳴をあげながら死んだ。 「私のソースとんかつを横取りするからそんな目に遭うのよ。」 と、数ヶ月後、お姉さんはとんかつにかぶりつきながら、思い出したように言ったそうだ。 「うーん!やっぱり自分へのご褒美はこれに限るわね♪」 _______________________________________________________________ ビッグカツをつまみにしながらジンジャーエール飲んでたら思いついた。 普段は明るい、何かあると病むお姉さんを目指して書いてみた。 ちなみに虐待スレのSSに出てくるお姉さんは俺の中では黒髪のショートヘアです。 食べ物の恨みは恐ろしいよ! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/471.html
「「「おはようございます!」」」 「おはよう、しばらくぶりね。みんな」 ざわざわと、決して狭くない部屋中に騒がしい声が満ちる。 夏休み後の寺子屋は、朝から晩まで、色黒になるまで遊び倒した子供達で一杯だ。 そんな様子を微笑ましく眺めるのは、先生である上白沢慧音。 「夏休みはどうだったかな? ……もちろん、宿題はやってきたでしょうね?」 にこやかに告げる慧音に、ビクっと震える子供が1人。どうやら、たっぷり遊び倒したせいでやって来なかったらしい。 慧音は、笑顔のままで固まった子供をちょいちょい、とその細い指を使って招いた。 寺子屋から、ごつんごつんと硬いものがぶつかる音が聞こえると同時に、悲鳴が響き渡った。 『ゆっくり研究してね!』 「……あれだけ時間があったのだから、ちゃんとやって来なきゃダメでしょう?」 慧音は、夏休み明け初日から頭突きをした事に内心ため息をつきながら、なみだ目の子供の頭をなでた。 どこの世界でも宿題をやって来ない子はいるが、寺子屋に限ってはかなり少ない。 それもそのはず、寺子屋の夏休みの宿題は自由研究だけだし、慧音の頭突きが怖くて痛いからだ。 「じゃあ、みんなのやってきた事を見せてもらいます。机の上に出してね」 宿題をやって来なかった子に「反省する事」と言い残して別の子達の方を向いた慧音は、はーいと返事をする子供達を見て笑顔のまま固まった。 「ゆっくりの一日」「水に入れたゆっくりがどれだけ生きているか」「ゆっくりの食べ物」と、研究内容がゆっくりに対してばかりだったからだ。 何やら透明な箱に入れられて、気が触れた様に笑うゆっくりを掲げている子もいる。 ――ゆっくり以外の研究がないじゃないかっ! 慧音は、頭を抱えてしまいそうになる自分を必死になだめながら、震える手を教卓に置いた。 「じゃ……じゃあ、左前から順番に発表してね」 噛みながらも言えた。ちょっと自画自賛しながらも、それは現実逃避だと頭を振り、発表を聞く慧音。 左最前列の子がちょっと恥かしそうに立ち上がり、発表を始める。 「ぼくは、ゆっくりが一日どうやってすごしているかについて調べてみました。その結果が、この紙に書いてあるものです」 ぺらぺらの紙に書かれたものは、円グラフと色とりどりに描かれたゆっくりの一日について。 それによると、ゆっくりは明六つ辺りまでは寝ていて、暮六つ以降に巣に戻るとなっているらしい。 午の九つ辺りには食事を取り、生意気な事におやつの時間まであるらしい。ちなみに、人間と同じく八つに摂っている。 案外詳しく調べられているそれに、先ほどの光景など忘れてしまった様に慧音はうんと一つ頷いた。 「なかなか詳しく調べられていますね。よろしい、合格です」 頭を撫でられた子供は、真っ赤な顔をして嬉しそうに微笑んだ。 「……じゃあ、次の子の発表を聞きます。君は、何について調べたのかな?」 「ゆっくりです!」 ガタンと、古いバラエティ番組っぽい動きで音を立ててこける慧音。 その様子を見て、自分の研究はダメだったのかとなみだ目になる二番目の発表者に向けて、何でもないと手を振って答える。 ――そういえば、全部ゆっくりだったな。気にしすぎない様にしないと。 落ち着けと自分に言い聞かせつつ、慧音は次の子、更に次の子と発表を聞いていく。 皆が特色ある自由研究をしている。だが、内容は全てゆっくり。 流石に食傷気味だったが、数人聞いて他の子は聞かないなど出来ない。慧音は、鉄の自制心で似た様な研究を聞いていった。 「じゃあ、次のゆっくり……じゃない、君は何について調べたの?」 「はい、ぼくはこのゆっくりについて調べました」 誇らしげに言いつつ、子供は透明な箱を掲げた。 中のゆっくりは完全に気が触れているらしく、ただうふうふと笑っている。 慧音は、その光景にちょっと引きつつも、更に問いかけた。 「えーと……そのゆっくりを使って、何を調べたの?」 「ゆっくりの赤ちゃんを目の前で食べたら、何匹目でうふうふ言い出すか調べました。18匹目でした」 目の前で自分の赤ちゃんを食うのはただの自由研究だったと宣言されても、何も反応を見せずにうふうふと笑うゆっくり。 どれほどの惨劇を目の当たりにしたのか、目がにごっており、口の端からはよだれが一筋流れている。 「そ、そう……すごいわね、あなたも合格」 慧音は完全に引いていたが、この子も研究はキチンと出来ている。やった事は認めなくてはならない。 口の端を引きつらせながらも笑顔を浮かべる慧音は、真に先生と褒められるだけの存在だった。 「じゃ、じゃあ……次の子……ふぅ」 ゆっくりの○○、○○をするゆっくりなど、自由研究と言うよりはゆっくり研究とでも言えるそれの時間はまだまだ終りそうにない。 もうお腹一杯の慧音は、流石に息をついてしまった。子供達にため息だと気付かれなかったのが唯一の幸いか。 「……はい、皆色々な研究をしてきましたね。皆合格です」 やって来なかった奴はー? と聞く子に、その子はまた後からやってもらいますと答えて当人の顔を青ざめつつ、ゆっくり研究は終った。 「ここまで見てきた結果を踏まえて、皆に一つ言いたい事があります」 なんだろーと騒ぐ子供達。慧音は手を叩いて静かにさせてから、おもむろに宣言した。 「次回以降、ゆっくり研究は禁止にします。皆、ゆっくりが簡単に手に入るからって研究しすぎです」 えーと騒ぐ子供達。 慧音は、延々と続くゆっくり研究が終ってくれた開放感を噛みしめつつ、今日の授業を開始する。 その心に、帰り道で会ったゆっくりは即叩き潰そうという物騒な誓いを立てていた。 21スレ459の話を聞きつけて、書いてみました。 グダグダだけど書いてて結構面白かった。 by319 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1795.html
……ゆっくりでも育ててみるか。 ある春の日の昼下がり、私はふとそんな事を考えた。 ゆっくり、ここ数年姿を現した不思議生命体を育てるのは金も手間もそれほどかからない。 思い立ったが吉日とさそく準備を始める事にする、まずはゆっくりの用意だ。 それ用のゆっくりは売っているが、本格的に育てるのではないので買うのは却下、なので野良を捕まえてくる事にする。 ゆっくりを探しに家を出て数分、獲物はすぐに見つかった。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 黒い帽子を被った顔のような薄汚れた野球ボールぐらいの物体、ゆっくりまりさという種である。 時間的に昼食だろうか、道端に生えている草を抜いて食べていた。 私は少しだけ考えてこのまりさを育てる事にした、ではさっそく捕まえる事にする。 そのままこっそりと近づいて捕まえても良いのだが、万が一逃げられるのも次を探すのが面倒なので罠を使う。 私は物陰に隠れ、用意していた釣り針に釣り糸を括り付け、コンビニで買った饅頭を刺してまりさの後ろあたりに投げた。 ――ポトン 「ゆ?」 まりさは後ろに何か落ちた事に気付き振り返る。 そしてそれがお菓子だと分かった瞬間、その目の色を輝かせた。 「ゆゆっ! あまあまさんがおちてるよ!!!!」 怪しいとも思わずはしゃいでいる、単純なものだ。 これが長く生きたゆっくりなら怪しむだろうが、あの大きさから見て成人近くの子ゆっくりか、成人して間もないぐらいだろう。 まりさは怪しむ様子も無く、口を大きく開けて餌に向かって飛びついた 「あまあまさんいただきまーす!! むーし……ゆぎぃ!?」 「ゲット」 うまく口内に釣り針が刺さったのを確信、逃げられないのを確認して物陰から出る 「うう、いうえうはうはよ、ゆっふひひへふひょ(ゆゆ、にんげんさんだよ、ゆっくりにげるよ)」 口に針が刺さって何を言ってるか分からないが、逃げようとするのでとりあえず捕まえる。 口の中から針を取ると、文句を言い出す前に持っていたコンビニ袋に入れて口を縛り鞄に入れた。 ゆっくりを捕まえた私はついでに必要なものを買って家に帰ってきた。 買ってきたものを入れた紙袋を机に置き、鞄の中からゆっくりを取り出す。 「ゆ……、ゆ……」 せっかく捕まえたまりさが危ない感じに痙攣していた。 まぁ太い針で口を蹂躙され、そのまま通気性の悪いビニールに詰められ身動きが取れず、狭い鞄の中に放り込んだんだ、当然だろう。 というか考えてみれば良く生きていたものだ、さすがゆっくり無駄に生命力がある。 とりあえず死なれるとまた捕まえに行くのが面倒なので、洗面器に放り込み買ってきたオレンジジュースを少し流し込む。 さて、まりさがある程度回復するまで準備をしておこう…… 「ぺーろぺーろ。……ゆ? おにいさ、ゆっくりしていってね!!」 必要な準備を整えて部屋に戻ると、元気になったまりさが洗面器の底に残ったジュースを必死になってなめていた。 私が来たのに気付いて御約束の挨拶をするとすぐにまた洗面器をなめる作業に戻ったが、もう完全に無くなったのに気付き悲しそうな声を上げる。 「ゆ~、なくなっちゃったよ。……おにいさん、まりさはもっとあまあまさんなめたいよ! ゆっくりもってきてね!!」 おやおや、いきなり催促とは。おそらくあまりお頭の宜しくない固体なのだろうが、まぁ今から育てるのには関係ないので良いとする。 私は返事を返す事無く、まず準備のためまりさをひょいっと持ち上げた。 「ゆ~! おそらをとんでるみたい~!!」 まずこのままでは汚いのでぬるい湯を用意した桶に入れて、ジャンプーで汚れを落とす。 「ゆ~♪ ぶくぶくさんがきもちいいよ~! とってもゆっくりできるね!!」 一通り洗い終えたらシャンプーを流し、柔らかいタオルで体を拭いて、ドライヤーで乾かしてやる。 「まりさ、とってもゆっくりできるよ! おにいさん、ゆっくりさせてくれてありがとう!! おれいにいっしょにあそんであげるね!!」 無邪気にはしゃぐまりさ。そんなまりさを再び持ち上げ、その楽しそうな言葉を発するまりさの口にオレンジジュースで塗らした脱脂綿を詰め込む。 「ううっ!?」 気分は天国から突然の地獄へだろうか? 突然の事に目を見開くまりさだが無視、口に入らなくなるまで脱脂綿を詰め込んでいく、そりゃもうぐいぐいぐいっと。 「ううー!!」(やめてね!! まりさのくちにいじわるしないで……ゆぎゅ!?) あごが外れたのだろうか、白目をむいて痙攣するまりさ。 だが脱脂綿に含まれたオレンジジュースの効果によって死ぬことは無いので無問題。……考えてみれば残酷な生態である。 さて、限界まで詰め込んだのを確認した私は用意していたまな板の上にまりさを寝かせるように横に乗せる。 そして保険のオレンジジュースで前進を塗らした後、包丁を取り出してまりさの底の部分を深めに切断した。 「!!!!!?????!?!!!????!」(うぎぃぃぃぃぃぃぃ、まりさのあしさんがいだいぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?) この時、背の方に斜め気味に切るのがミソだ。続いて剣山を用意して切った部分に突き刺す (やべでぇ……、ぎずぐじざんが……、ぎずぐじざんぐりぐりじないでぇ……) ある程度深くまで刺さったのを確認し、溶かした小麦粉とオレンジジュースを混ぜたものを入れたボールの中にその部分を漬ける。 暫くしてボールの中から出すと、漬けていた足の切り口と剣山が綺麗に一体化していた。 ぬれた部分を拭いて机の上におけば、斜めに切って突き刺していたために少し上を向いたようになるのがポイントだ。 ――ガタガタガタ (ゆっ! ゆっ!! ゆゆっ!!!! あしさんがぜんぜんうごかないよ!? おにいさん、ゆっくりなおしてね!!!) まりさは必死になって体を動かしているが、一体化した剣山が土台となった足が動くはずも無くガタガタ体を揺らすだけだ。 ここまで手を入れたまりさを底に脱脂綿を詰めた鉢植えに入れ、まりさの周りにも一杯になるまで脱脂綿を詰めていく。 (ゆぎぎぎぎぎぎっ!? ぐるじいよ、やめでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!) この時まりさの体が斜めになっているため、目が鉢植えの外に見えているのがチャームポイントだ。 さて、仕上げだ。周りに脱脂綿にオレンジジュースを水をかけ、脱脂綿を濡らしていく。 (ゆ~、あまあまさんのあじがくちにひろがっていくよ~♪) まりさのめが気持ちよさそうに細まる、周りの脱脂綿を通して口の中の脱脂綿にオレンジジュースが染み渡っていってるのだろう。 また体もほぼ全体がオレンジジュースに浸された状態だ、これで簡単には死なない。 最後の仕上げと買ってきたゆっくり用のアンプル「孕ませありすちゃん200X」を取り出し、暴れないように最後まで被せていたまりさの帽子を退かしてその頭に突き刺した。 (ゆぎぃ!? ……ま、まりざの、おぼうしさんとらないでぇぇぇ!!!!!!) 今度は何かを訴えるような目になるが、その目もアンプルの中身が入っていくにつれトロンとしたものに変わる。 暫くして、中身が完全に入ったまりさの顔は赤みを帯び、からだはぶるぶる震えだし、そして…… (ゆ、ゆ、ゆ、ゆ!! すっきりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!) 最後に一際大きな振るえと共にその額から蔦が伸びて行き、小さなまりさとありすが実った。 (ゆ、まりさのあかちゃん? ゆっくりして……) 「ゆぎゅ!?」 (…………ゆ?) 実ったゆっくり達を鋏で切り取り捨てていく。 切り取られたゆっくり達は親からの送られる栄養の供給をたたれ、苦悶の声を上げながら次々と死んでいく。 (やめてね! ゆっくりやめてね!! まりさのあかちゃんたちをきりとらないでね!!! ゆっくりできなくなっちゃうよ!!!!) 滝のように涙を流すまりさを尻目に、最後のありすを切り取ってその切り口に雑菌が入らないように薬を塗る。 これを何度か繰り返して、程よい数の蔦が揃えば準備は完了でる。 これから暫くの間、まりさを「観葉植物」としてノンビリと育てていくのだ。 壊れたおもちゃのように涙を流すまりさの目に、私は優しい微笑を向けた。 二週間後、まりさから伸びた蔦は青々とした葉が付いていた、きちんと手入れをした為か色も形も実に良い。 そんな生き生きとした葉に対して、根となっているまりさの瞳からは理性が消え、虚ろな物へと変わっていた。 動く事も話すことも出来ず、ただそこにあるというだけの状況に耐え切れず、考える事を止めたのだろう。 それを確認した私は葉の一枚を切り咀嚼する。……甘い、芳醇な甘みが口いっぱいに広がる。 葉の繊維の食感と、柔らかい砂糖のような甘さが口の中で融合し合い、何とも言えぬ旨みを演出していた。 さて説明するとこの葉は『ゆーくりの葉』と言われている、ゆっくりから取れる野菜である。 ゆっくりの餡と同じくゆっくりの感情によって甘みを増すこの葉は、その甘みとは裏腹に食物繊維が豊富で子供のおやつやダイエットのお供に人気の品なのだ。 考えるのを止めるほどの絶望を元としたこの葉は実に深みのある良い味へとなった、そろそろ収穫時だろう。 数も多いし、せっかくなので友人にもおすそ分けする事にした、たしか友人のれいむとれみりゃが子を産んだはずだ、祝いには調度良い。 そう決めると私は蔦ごとまりさから『ゆーくりの葉』を引き抜き、不要となったまりさを燃えるゴミの袋に放り入れ、玄関へと向かった。 【あとがき】 絵でゆっくりを鉢植えに入れて育ててる絵を見て、なんとなく自分も育ててみたくなったので書いてみた。 主人公視点なのにまりさの心の声が書かれてたりと変な所が多いのは自分の実力不足です、もしわけない。 このような作品を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。 【書いた作品】 ゆっくり出来ない時代 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4579.html
ゆっくり真空パック 俺設定 「ゆーっ!ここはゆっくりできないよ!!」 れいむは怒っていた。突然群れにやってきた人間達に捕まり、大きな袋に放り込まれた。 夫のまりさや他のゆっくり達も次々と袋に入れられ、ぎゅうぎゅうに押し込められること約半日。 空腹の限界点も通り過ぎた頃にようやく解放され、袋から出られたと思ったら見たこともない四角い部屋。 そしていきなり頭上から土砂降りの雨が降ってきて、みんなパニックを起こしかけた。 雨はすぐに止んだが、そのあとたくさんやってきた人間達にまた袋に入れられてしまった。 しかも今度はなぜか種族別に分けられたので、大好きなまりさとも離ればなれ。 そして今、透明な小さな袋の中にひとりづつ入れられ、動く細い床の上に乗せられていた。 「おなかへったよ!ひどいにんげんさんはれいむにたべものをもってきてね!」 袋の外では白っぽい服を着た人間達が黙々と歩き回っている。れいむの訴えに耳を貸そうとする者はいない。 「れいむはおこってるんだよ!むししないでね!ぷくー!」 精一杯威嚇してみるが全く効果なし。次々とれいむの目の前を通り過ぎて行く。 「もうやだ!おうちかえる!」 この動く床から脱出しようと、思いっきり跳ねてみた。 「ゆべっ!」 しかし周囲に見えない固い壁のようなものがあって、頭をぶつけてしまった。 それ以前に袋がいやに体にまとわりついてうまく動けないので、逃げ切れるかどうかは疑問だったが。 「ゆううぅぅぅっ!ゆっくりさせてよおおおっ!!」 あまりの仕打ちにとうとう癇癪を起こしてしまった。 その時、突然れいむの体が浮いた。 1人の青年が、れいむを袋ごとつかんで持ち上げていた。 「ゆーっ!おそらをとんでるみたい!」 まもなくれいむは白い台の上に優しく置かれた。動く床から解放されたのだ。 「おにいさんありがとう!あとれいむをふくろからだしてね!ゆっくりさせてね!」 助けてくれた青年に満面の笑みを向けるれいむ。 だが青年は笑うこともなく、黙ってれいむの後方を指さした。 「ゆっ?なに?」 振り返ると、そこには見るからにおいしそうな色とりどりの果物が大量に積まれていた。 「ゆーっ!すごいよ!くだものさんだよ!」 群れの生活では、こんなたくさん食べる機会などなかった。 れいむは口を大きく開き、涎を垂らさんばかりの表情でそれを見つめた。 “早く袋から出してもらって、ゆっくりむーしゃむーしゃするよ!” そう思った瞬間―― れいむの両方の目玉が、ものすごい力で締め付けられた。 目玉だけではない。頭、足、耳、唇。れいむのありとあらゆる部分に尋常ではない力が加わっている。 ――なに、これ、いだい、いだい、ゆっくり、できない―― 力は喉の奥まで押し入り、出かかった悲鳴をたやすく封じ込めた。 ――やべて、つぶれ、ちゃう、ゆ゛あ゛ぁ゛―― とても身動きできないほどの圧力なのに、れいむの体が破裂することはなかった。 圧力はあらゆる方向から均等にかかっているため、変形させることなく、ただただれいむを締め付けるのみ。 ――めが、いだい、あづい、やべて、つぶれる、しんじゃう―― 締め付ける力は、隙間という隙間の奥の奥まで届き、眼球や舌根をこれでもかというくらいに絞り上げる。 視界は様々な色が混じり合ってぼやけ、もう何も見えたものではない。 ――たずげて、おにいさん、だずげで、まりさ、まりざ―― 体の中心から焼けるような熱さが広がっていく。 聞こえる音はぐわんぐわんと響く耳鳴りだけ。 頭の中はぐるぐると回っているような、ぐちゃぐちゃとかき乱されているような。 一瞬のうちに、れいむは地獄に叩き込まれた。 加工所の新商品として、「ゆっくり真空パック」というものが発売された。 “産地直送!生きた新鮮な甘味をご家庭で!”という文句で売り出されたこの商品。 要するに生きたゆっくりをそのまま真空パックし、注文先に配達するという、名前通りの商品である。 前々から真空パックという方法は一部の商品で使われていた。 しかし冷凍や加熱処理で仮死状態にした後にパックしていたので、それなりに手間もコストもかかる。 そこで考案されたのが、“殺菌処理のみした後すぐパックする”という方法だ。 「別にゆっくりなら仮死状態なんかにしなくてもいいよね?」という軽い発想も手伝って生まれたのだが・・・ これがなかなか望外な効果を持っていた。 真空パックで締め付けたまま放置しておくと、甘味が増していくのだ。 成体ゆっくりはゆっくりさせたままだととても不味いので、従来の加工の際はゆっくりさせない配慮が必要だった。 しかし真空パックのおかげで無理に苦痛を与える必要が無くなり、加工所の職員達は(一部を除いて)歓迎の声を上げた。 実用化が決定されてからは、どんどん研究や開発が進んでいった。 無造作にパックしてしまうと唇がつぶれて餡子が漏れだしてしまったり、まぶたが閉じてしまったりする。 いかに効率的に苦痛を与え、きれいにパックするか。 まず薄くて柔らかい、それでいて破れにくいビニールシートが開発された。それを袋状にして中にゆっくりを入れる。 次に、ごちそうを見せることによって目を見開かせ、大口を開けさせるという方法が提案された。 隙を作って背後から空気を吸い出し、眼球や舌をビニールで締め上げる。 これらは全てうまくいき、あっという間に商品化までたどり着いた。 真空パックには、商品を受け取った人が自分好みの糖度になるまで熟成することができる、 後頭部から包丁を突き立てれば、何の抵抗も絶叫もなく物言わぬ饅頭になる・・・といった利点もあった。 斬新な仕組みに、人々は面白がって注文した。 もちろんパックの中のゆっくりは生きている。時間が経てばパニック状態からは抜けだし、思考能力も元に戻る。 もっとも耳はあまり聞こえないし、眼球は固定されているので焦点は一点しか合わないが。締め付けに延々苦しむのだ。 しかしビニールに穴を開けてやれば、たちまち蘇生し喋り出す。 このことから、特殊な理由での注文も相次いだ。 近所に野良ゆっくりがおらず、一度現物を見てみたい、という人。 解放したことに恩を売り、そのままペットにしたい、という人。 人には言えないようなアブノーマルな趣味を持っている、という人。 その他様々な人からの需要を発掘し、大ヒットとなった。 今の加工所では、手間もコストも大幅に削減されるので、通常種の成体の4割をこの方法に回すようになっている。 あまりの売れ行きにライン生産までされるようになった。 引き続き開発も進められている。現在の案件は、解放した瞬間に生クリームをほとんど吐き出してしまうぱちゅりー種について。 “にんっしん”したゆっくりのパックも開発中だ。植物型は特に問題ないが、胎生型は1/2程度の確率で死産になってしまう。 加工所期待の商品「ゆっくり真空パック」は、粛々と生産され続けている。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 虐待短すぎ、説明長すぎですね・・・反省してます・・・ 過去作品 ゆっくりバルーンオブジェ 暗闇の誕生 ゆっくりアスパラかかし このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5058.html
ゆっくり達の挽歌 ※下手です 子を産める程度のれいむを二体、捕まえた。 二体を巨大で、無機質な部屋に入れて、放す。 「ゆゆっ!! はなしてね!!」 「ゆっ!! おじさんはでていってね!!」 最初は抵抗していたが、『あまあま』を与えると、喜んだ。 「もっと、あまあまほしいよ!!」 「ゆっくりしないで、はやくしてね!!」 さらに『あまあま』を与え、満腹の状態を維持させる。 「も、もう、たべられないよ!!」 「おなかいっぱい!! しあわせー!!」 それから、私は、ゆっくりをぶるぶると振動させた。 「ゆゆっ!? ゆ……ゆゆっ!! ゆゆぅ……ゆゆゆゆゆゆ!!」 「ゆ!? れいむどうしたのっゆっ!! ゆゆぅ!!」 二体の身体の表面が少し湿ってきた。 「ゆゆ!! れいむ!! でいぶあああ!!」 「でいぶあああ!! ぎぼぢいよお!!」 両方の身体から、愛液がどくどくと溢れ出てくる。 二体は白目を向いて、涎と涙を垂らしている。 「すっきりー!!」 「すっきりー!!」 片方のれいむから茎が生えてくる。 数日後……茎から実が落ち、子供が生まれる。 「ゆゆっ!! あかちゃん、ゆっくりしていってね!!」 「れいむたちに、にて、かわいいね!!」 子供は十一体だ。『あまあま』をたくさん与えているからだろう。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」 「ゆゆゆっ!!」 「ゆっきゅりー!!」 「おじしゃんじゃりぇ?」 「おじしゃんもゆっきゅりしちぇる?」 同じようなことを言う、ゆっくり達の家族から、ゆっくりの親を取る。 「ゆゆっ!! ゆっくりやめてね!!」 「ゆっくりしていってよー!!」 「やめちぇにぇ!!」 「おきゃーしゃんをちょりゃにゃいでにぇ!!」 懐から、注射器を取り出し、ゆっくりに注入する。 ゆっくりが小さく悲鳴を上げたが、全て入った。 そして、そのゆっくりを床に置く……すると。 「でいぶう!! でいぶびゃああ!!」 「ゆゆゆっ!? やびぇ!?」 そのゆっくりが妻に、突入していく。 私は、戦慄となった、赤ゆっくりを、天井から吊るした板の上に置いた。 「でいぶうう!! でいぶうううあああ!!」 「やびぇじぇ!! ごどぼだぢゃっふ!?」 レイパーれいむは身体から、愛液を振り回し、速くぶるぶると震える。 一方、れいむは戸惑いつつも、顔を紅潮させている。 レイパーれいむは、もはや狂人のような顔つきだ。 赤ゆっくりはそれを見て、泣いていた。 「すっきりー!! すっきりー!! すっきりー!!」 「すっきりー!! すっきりー!? ずっぎぎー!? ずぎあああ!!」 れいむは何度も擦られて、皮が擦れて餡子が漏れ出し始める。 さらに愛液の出しすぎで、表面がパサパサとしてきた。 「ずぎっ!!ずっ!!ず!! もど、ゆぐず!!」 やがて、れいむは果てた。 レイパーれいむも枯れてきたので、オレンジジュースを掛けておく。 レイパーは死体のれいむで自慰行為に励んでいた。 「お父さんはとても、怖いんだよ」 「ゆぎゃあ!!」 「ぎょわいよおー!!」 「だじゅげじぇ!!」 「じじぢゃぎゅだい!!」 私が一言言うと、赤ゆっくり達は混乱した。 次の日……。まだ、太陽も出ぬ頃に。 「ゆがあ!?」 親れいむが悲鳴を上げる。薬の効果はもう、切れていた。 「ゆっきゅりぎょろしゅはちんじぇにぇ!!」 「ゆっきゅりちにぇ!!」 「びゃーきゃ!! びゃーきゃ!!」 赤れいむ達が、れいむに突進する。 小さいので痛みはあまり無いが、れいむはショックを受けたようだ。 「や、やめてね!!」 「おぎゃーじゃんをぎょろじじゃぎゅじぇじい!!」 「おじざんぎゃおじえじぇぎゅりぇじゃよ!!」 「おぎゃーじゃんぎゃ、わりゅいゆっぎゅりじゃっじぇ!!」 れいむは、しばらく固まっていたが、皮を裂かれ、餡子を食べられ始めると抵抗した。 「ゆぎゅ!?」 「にじゃあ!?」 それに二体が巻き込まれる。 「ぎゃあ!?」 「よぎゅみょぎょりょじじゃにゃあ!!」 さらに赤れいむが突進する。しかし、れいむは見切りを付けたようだ。 「ゆびぇえ!?」 「ぎゃぎゃ!?」 「じゃびぇ!?」 「じゅじゅじぇ!?」 「ぎゃああ!!」 「ぎゅっぎゃ!?」 六体の赤れいむが餡子の塊と化した。 しかし、残った三体は、傷口に突進した。 すっぽと、中に入ってしまった。 「ゆぎゅう!? いだい!! いだいぃ!?」 中で、赤れいむが餡子を食っているようだ。 れいむは身体を振り、壁に突進した。 しばらくすると、れいむは落ち着いて、虚空を凝視し始めた。 「ゆぅ?」 私は先程、河童製『かめら』で撮った、写真を、箱に貼り付けた。 それは、一方向だけ開くようになっている。 れいむをその中に入れ、開閉部分を下に置く。 「ゆぎゃあ!?」 れいむが叫びだす。 「いだい!? やべっ!! ゆるじああ!?」 さらに叫ぶ。 「おでがいでずう!! ゆぎゃああ!!」 しばらくと呟くようになった。 「わどぅ……れい……ゆる……ごべ……」 声はやがて聞こえなくなった。 それから、六刻程して、私は箱を引っくり返して開けた。 「へへへ……あっぱるああ!! でいばあっふ!?」 れいむは箱から飛び出すと、ふらふらと、動いた。 が、止まって、壁に体当たりした。 「ひゅっるゆっくりああ!! ぎぼぼっべ!!」 さらに身体を回転させ始め、私に寄って来た。 「じね!! じでえ!! ぼっかあ、らった」 酔っ払ったかのように、部屋から、出て行く。 そして、玄関から出て行き、畑で、止まった。 その後、かなり速く、進んでいく。 「ゆっぶ!?」 れいむは、柵につっかえた。 しかし、無理して、隙間から出ようとする。 「ゆぅ!! ゆぅ!! ゆがあああああ!!」 身体が、めり込んでいく。 「ゆっ……べっ!! れいむは白目を剥いて、飛び散った。 END このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2076.html
何だかんだでゆっくりれいむ一家と漫才をすることになった 「じゃあ赤れいむ、ツッコミの練習をしてみようじゃないか!」 「ゆ!れいみゅがんばりゅよ!!」 「がんばってねちびちゃん!!」 「いもうとのつっこみはすごいよ!おにいさんゆっくりかくごしてね!」 「「「ちてね!!!」」」 「HAHAHA、赤れいむ、今日もまたべりぃぷりちー(笑)じゃないか!」 「ゅゅぅ!てれりゅよおにいちゃん!」 「うんうん、その太陽よりも眩しい笑顔!素敵だなぁ!しかしそれよりもいいのは・・・」 「いいにょは?ゆっくちおちえてにぇ!!」 「君のこの・・・帽子さ」 「にゃんぢぇやにぇん!!」 ぽよん 「ゆ!!とてもいきおいのあるつっこみだね!さすがちびちゃん!!」 「ゆへひぇ☆すーりすーり♪」 「あまーーーーーーーーーーーーーい!!」 「ゅ?なにがあまいの?おかし?ゆっくりおかしちょうだい!!」 「「「「ちょうだいにぇ!!」」」」 「違う、ツッコミだよツッコミ!今のじゃあ観客の皆さんは笑いもしない!お笑いをなめるな!」 「「「「「ゅ・・・」」」」」 「よしっ、じゃあゆっくりお笑いコンテスト地区予選ベスト8のお兄さんが直々に伝授してやろう!」 「ゅ!ゆっくちはやくおしえちぇにぇ!!」 「じゃあ交代だ」 「ゆひゃは、おにいちゃん!きょうみょまちゃべりぃかっちょいいにぇ!!」 「HAHAHA、照れるよ赤れいむ。そんなに言われちゃうと僕もっと輝いちゃう!キランキラン!」 「ゅんゅん、そにょえぎゃお、ゆっくちちてるにぇ!!でもちょれよりもゆっくちちてるにょわ・・・」 「ん~?なんだい?さっさと教えなよ!」 「おにいちゃんの・・・りぼんだょ!!」 「ヒャッハァ!我慢できねぇ!!ツッコミだぁ!!!!」 パシャァアアン 「れ”い”む”の”あ”か”ち”ゃ”ん”か”ぁ”ぁ”あ”あ”!!!!」 「い”も”う”と”か”ぁぁああぁ!!!どおじでごんあごとするのおお”お”お”お”お”!!!」 ドッ(笑) 「おに”い”さ”んと”はゆ”っく”ち”できないよ”!!!お”し”さんた”ち”た”づけ”て”ね”!!!!」 ドドッ(笑) 「れいむ!それおじさんやない!!ぴっちぴちの20歳後半や!!」 ベチャァアアン 「や”め”て”ぇええぇええ!!!れ”い”む”のこ”どもころさ”ないでぇえええぇえ!!!」 「お”ねえ”ち”ゃ”あぁ”あ”あんんん!!!!」 「いい加減にそぉいっ!!!」 ブチャビチャビシャァアアン 「あぁあああぁ”こ”ども”た”ち”があぁあああぁあああああ!!!!!」 ドドドッ(爆笑) 「どうも、ありがとうございましたー」 パチパチパチパチ・・・ パチパチパチパチ・・・ 「なお、この親れいむは後でスタッフが美味しくいただきます」 「どお”し”て”そ”んな”ごと”い”う”の”お”お”お”お”!!!!??」 ワッ(大爆笑) 『以上、ゼッケン七番「ゆっくりとのまんざいとっくん(笑)」でした~』 今回は優勝を狙えそうだ と思ったらゼッケン13番の「ゆ戯王デゆエルもんすたぁず」にあっさり取られた そしてスタッフの人が半ば強制的に親れいむを食べてしまった 今日も夕食は野良ゆっくりです 完 ______________________________________________________ あとがき 急に赤ゆっくり相手にツッコミしたくなって書いた 反省はしていない しかも殆どセリフだけっていうのも難しいし分かりづらいですね 自分お笑いとか漫才とか一切分からないので面白くはないと思う。 ちなみにゆっくりのツッコミ方法は体を捻って体当たりです。 今までに書いたり作ったりしたやつ ゆっくり大福(作った) ゆっくり漫才(書いた・新) ゆっくりとりひき1~2(書いた、続) ゆっくりとりひきのこと完全に忘れてたから今度うpします このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/425.html
-初めに- このSSを読む前に“ゆっくり加工場”を読むことをオススメします。(加工場を書いたのは私ではありません) このまま“プチゆっくり魔理沙の生涯”を読んでもかまいませんが、以前私がUPした“ゆっくり霊夢の生涯” を読むと、内容が理解しやすいと思うのでオススメします。 ゆっくりに対する過激な虐待表現が含まれておりますので苦手な方は読まないほうがいいかと思います。 また、本編冒頭は前作と同時間軸の部分なので一部表現が同じ部分があります。ご了承下さい。 -本編- そのゆっくりの意識は暗いまどろみの中で何かを待っているかのように眠っている。 「ゆっくりしていってね!」 眠っていた意識が反応する。 「・・・ゆ、っゆっ、ゆっくりしていってね!」 そう言いながらそのゆっくりは目を覚ました。周囲では同じようにゆっくり達が目覚める。 「ゆっくり!」 「ゆっくりしていってね!」 周囲を見渡すと自分と同じゆっくりと自分とは違う形状の赤いリボンをしたゆっくりが複数いる。 ゆっくり達はここが何処だかわからずキョロキョロと周りを見回している。 その時、離れたところにある扉が開き一人の男が入ってきた。 「ゆっ!おじさんだれ?」 「ここはどこなの?」 ゆっくりが達が尋ねると男が説明をしてくれた。 ここがゆっくり達の繁殖施設であること。自分はゆっくり魔理沙で赤いリボンのゆっくりがゆっくり霊夢という こと。自分はたった今生まれたばかりであること。そして最後におじさんはこう言った、 「ここで安心してゆっくりすればいいよ。」 優しそうなおじさんの説明を聞いて自分を含め周囲のゆっくり達は素直に受け止め喜んでいた。 そしておじさんはお菓子をくれ、ゆっくり達はおなかいっぱいに食べ、ゆっくりと夢の中へ旅立っていった。 次の日、また男が部屋に入ってきた。ゆっくり達は歓迎する。するとおじさんがこう言った。 「今日はこの部屋にいる君達の半分を別の部屋へ移動させるよ。これだけの数がいると狭くて住み辛いだろうから ね。」 ゆっくり達は素直におじさんの言うとおりにすることにした。 そしてそのゆっくり魔理沙はおじさんについて行き、生まれた部屋を後にした。 部屋を出るとおじさんが、 「生まれた次の日に引越しなんてさせてしまってすまないね、お詫びと言ってはなんだがゆっくり専用のプレイル ームで遊んでみないかい?プレイルームって言うのは遊び場のことだよ。」 それを聞くとゆっくり達は、 「ゆっくり遊びたい!」 「おじさんやっさしい!」 「遊びたい!」 ゆっくり達はおじさんの提案を歓迎し、まだ生まれたばかりの小さな体を使いめいいっぱい跳びはねて喜んでいる。 そしておじさんはプレイルームのドアの前まで案内してくれた。その扉は先ほどの部屋のものとは違いゆっり達専 用なのか小さかった。 「さぁ、ここだ。ゆっくり楽しむんだよ。」 そう言っておじさんは扉を開けた。 ゆっくり達の目の前には、広い部屋が広がっていた。 ゆっくり達は無邪気に飛び跳ねて中へ入っていく。扉を閉める際男は、 「しばらくすると別の部屋につながる扉が開くから中でゆっくりしていればいいよ」 「おじさんありがとう!」 「ゆっくりするよ!」 ゆっくり達は目をキラキラさせおじさんにお礼を言った。そして扉が閉められ鍵がかけられた。 プレイルームでゆっくり達は跳びはねたり、集団を作ってゆっくりしている。 しばらくすると上から液体のようなものが落ちてきた。そしてどこからかおじさんの声が聞こえる。 「やぁゆっくり達聞こえるかい?その部屋は適度な雨を降らせる部屋なんだ。その液体は安全なものだから安心す ればいいよ。」 ゆっくり達は初めて見る雨に興味があるようで、陽気に飛び跳ねて楽しんでいる。 「きもちいい!」 「ゆっくり!」 しばらくすると雨がやみ、入ってきたときと反対の方にある扉が開いた。 「さぁ、次のプレイルームに進むといいよ」 おじさんの声を聞くとゆっくり達はわくわくしながら次の部屋に進んだ。 ゆっくり達の体は入ってきた時よりきれいになっていた。だがそのことに気が付くゆっくりは一匹もいなかった。 次の部屋にすべてのゆっくりが入ると扉が閉まり鍵がかかった。 しばらくするとゆっくり達の体が宙に浮いた。 「ゆっくり!?」 「おっと、説明する前にスイッチを入れてすまないね。その部屋は床から風が吹き出して体が宙に浮くようになっ ているんだよ。危険なことはないから安心してゆっくりすればいいよ」 はじめはびっくりして戸惑っていたゆっくり達だったが、今まで跳びはねることしかできなかった体が宙に浮き、 とても楽しそうにしている。 「ゆっくーり」 「ゆ~ゆ~ゆ~♪」 しばらくすると風が止み、ゆっくり達はゆっくりと床に着地し、次の部屋への扉が開いた。 「もっとゆっくり浮かびたかった!」 「ゆっくりしたかった」 何匹かのゆっくり達は不満を漏らしたが、おじさんになだめられ次の部屋へ進んでいった。 先ほどの部屋でぬれたゆっくり達の体はすっかりかわいていた。 次の部屋へ進むとそこは一面の白い世界であった。ゆっくり達は初めて見るものを不思議そうな顔をしてい眺め ている。そしてまたおじさんの声が聞こえてくる。 「その白いものは雪と呼ばれるものだよ、その上で遊ぶととても気持ちがいいよ」 おじさんの言葉を聞くとゆっくり魔理沙が恐る恐るその白い世界へ入っていった。そして、 「サラサラしてとっても気持ちいいよ!みんなも来て一緒にゆっくりしようよ!」 それを聞くとた躊躇っていたゆっくり達は一斉に飛び込んでいった。 白い粉が一斉に宙を舞い、ゆっくり達を包み込んだ。ゆっくり達はそんなことは気にもせずに飛び跳ねて遊んで いる。しばらくするとゆっくり達は真っ白になっていた。そう、これは雪ではない。しかしゆっくり達は本物の 雪を知らないため、真っ白になっても何の疑問も持っていなかった。 「ゆっくり霊夢真っ白、真っ白w」 「ゆっくり魔理沙も真っ白w」 そして次の部屋の扉が開き真っ白になったゆっくり達は次の部屋へ進んでいく。 次の部屋にはいくつかのくぼみがあり、黄色い液体で満たされていた。またおじさんの声が聞こえる。 「この部屋は泥遊びの部屋だよ。部屋にあるいくつかのくぼみに泥が入ってるから泥まみれになるのもよし、飛ば しあうのもよし、好きに遊ぶといいよ」 そう聞くと好奇心旺盛なゆっくり魔理沙が先陣を切って泥だまりへとダイブした。衝撃で泥が飛び散り様子を伺 ていたゆっくり達に飛び散った。 「ゆっくり霊夢にあたったあたった!」 「ゆーーーー、ゆっくり魔理沙!」 泥のかかったゆっくり霊夢は負けじと泥だまりへダイブし、ゆっくり魔理沙に泥を飛ばす。これを見ていたほか のゆっくり達は続々と泥へダイブしていく。そして楽しそうに泥遊びをした。 しかし、先ほど体についた白い粉に黄色い液体がまとわりつき、次第にゆっくり達のうごきは遅くなっていった。 「うぅぅ、体が重いよ」 「動きにくいよ」 ゆっくり達は苦痛をもらす。その時次の扉が開きおじさんの声が聞こえた。 「次の部屋で体にまとわり付いたものが落とせるよ、さぁ行った行った。」 それを聞いたゆっくり達はこぞって次の部屋へ進んでいった。 ゆっくり達は次の部屋へ行くため重たい体で飛び跳ねながら通路を進んでいる。すると突然電気が消えた。 「なに?」 「どうしたの?」 ゆっくり達がわけがわからずその場で立ち尽くしていると、暗闇の中でなにやら音がした。そして体が急に転が りだす。今まであった床が傾き、坂となりゆっくり達は続々と暗闇の中へ転がっていく。 「ゆっくり止まってね!」 転がるのは止まったが部屋は真っ暗のままだった。ゆっくり達は困惑している。その時おじさんの声が聞こえた。 「さぁ最後の仕上げだよ」 そして電気がついた。 ゆっくり達は驚愕した。ゆっくり達は底が円形の吊るされた檻に入っている。そして下には熱気を発する薄茶色 の液で満たされた大きな入れ物があった。周囲には足場はなく、例え檻から出られたとしても逃げ道はなかった。 「今からゆっくり達が入っている檻の底を端からゆっくりと無くしていくからね。最後に残ったゆっくりは助けて あげてもいいよ」 ゆっくり霊夢はあまりの出来事に呆然としている。その時、 「ゆっくり落ちてね!」 あの好奇心旺盛だったゆっくり魔理沙がゆっくり霊夢に体当たりしたのである。ゆっくり霊夢はなくなった床か ら高温の液体の中へ落ちていった。そして悲鳴が聞こえてくる。 「あづいよぉぉぉぉぉ、だずげで!おでがいじばずぅぅぅぅぅ。」 そして次第に声は小さくなり聞こえなくなった。小さな檻の中で生き残りをかけた戦いが始まった。 初めは十分にあった床はどんどん狭くなり、そしてゆっくり達はどんどん落ちていく。時間がたつにつれて悲鳴 の量は増えていく。 「だづげでおねがい!」 「ゆっぐりできないよ!ゆっぐりでぎないよ!」 「おじさん!やざじいおじさん!お願い!」 ゆっくり達の哀願は届くことはなく次々と力尽きていく。 檻の中のゆっくり霊夢達はすべて落ちてしまった。ゆっくり種というのは頭はさほど良くないのだが、ゆっくり 魔理沙は悪知恵が働くらしく、さまざまな手を使い、たくみにゆっくり霊夢を下に落としていった。 「霊夢うぅぅぅぅ、もっとゆっくりしようよぉぉぉ」 ゆっくり魔理沙は涙を浮かべ霊夢に話しかける、 「魔理沙ぁぁぁ、私もゆっくりぢたいよぉぉぉ」 つられてゆっくり霊夢も涙を流す。そしてゆっくり霊夢が油断した瞬間! 「ゆっくり死んでね!」 ゆっくり霊夢へ体当たりをして穴から下へ落とすのであった。 普段は仲良くしているが、追い詰められると本来の性格が現れるようだ。 このように姑息な手段を用いて檻の中はゆっくり魔理沙だけになった。 そして床はどんどんとなくなっていく。ゆっくり達は気が付く。端から床が無くなるのだから中心にいれば助か ると。こうして檻の中心の取り合いが始まる。 「さっさとどいてね!」 「ゆっくりさせないよ!」 中心を陣取るために体当たりするゆっくり達 「もっとゆっくりさせてね!」 「ゆっく!ゆっく!ゆっくりさせてね!」 中心を死守しようとするゆっくり達 戦いに敗れたゆっくりは絶望の表情に涙を浮かべて下へ落ちてゆき、悲鳴を上げる。 そしてその檻の中は1匹のゆっくり魔理沙だけになった。下からは助けを請うゆっくりの悲鳴が聞こえてくる。 男の声が聞こえる 「どうやら1匹になったようだね。約束通り助けてあげよう。」 床が元に戻り檻の出口が開く。そして開いた檻の先に見える出口らしき場所から床が伸びてくる。 ゆっくり魔理沙は安堵する。 「やっと・・・ゆっくりできる・・・」 しかし伸びてきた床は檻の入り口まで届いていなかった。 「少し距離が足りないようだがそれくらいなら跳べるね、ジャンプして跳び移ってくれるかい?」 ゆっくり魔理沙は見た。檻の出口と床の間は約ゆっくり1匹分。簡単に飛べる距離であった。 ゆっくり魔理沙は最後の力を振り絞って飛んだ!目の前に床が見えた。これでやっとゆっくりできる。そう思っ た瞬間! ガコン 「ゆ!?」 何かに当たったゆっくり魔理沙は表現ができない表情を浮かべ涙を流し落ちていった。そして悲鳴を上げる。 「ゆっぐりぢだがっだよぉぉぉぉぉぉ」 周囲には自分が落としたゆっくり霊夢や魔理沙がプカプカと浮いていた。既に意識はない。それを見てゆっくり 魔理沙はさらに絶望するのであった。 「おじざん、やぐぞくどおりだずげでよぉぉぉ」 ゆっくり魔理沙が悲鳴を上げる、すると男は話し出す。 「残念だったね透明な板が設置してあってどうあがいても飛び越えられないんだよ。まぁいつものことだ、君を助 ける気なんて毛頭なかったんだよ。ゆっくり達を一気に落とすと油の温度が急激に下がってうまく揚げあがらない んでね、だから最後に残ったゆっくりを助けると言ったんだよ。そうすれば争い合ってゆっくりと落ちていくから ね。」 男は説明するがゆっくり魔理沙の意識は既に無くなっていた。 ゆっくり加工場に隣接する饅頭屋には長蛇の列ができている。 「いらっしゃい!いらっしゃい!今日は週に一度のゆっくり揚げ饅頭の販売日だよ!」 幻想郷の住民の間では今ゆっくり揚げ饅頭は一大ブームとなっている。 その列を見た金髪の女性は並んでいる住民にこの列はいったい何なのか尋ねた。 「おやまぁ、お嬢さん。ゆっくり揚げ饅頭を知らないのかい?」 「ゆっくり揚げ饅頭?」 「そうさ、そこの饅頭屋で売ってるんだ。見た目は少々アレだが味は抜群だよ。」 金髪の女性は試しに買ってみることにした。 一時間並びようやく買うことができた。 「ふぅ、やっと買えたわ。これでまずかったらあの饅頭屋ただじゃおかないわ」 一口ほおばる、 「こ、これは!」 おいしい、確かに並んで買うだけのことはあるとその女性は思った。 「あら?」 その饅頭をよく見ると、どこかで見たことがある顔がうっすらと見える。 そう、この恐怖におびえる顔はまさしく家で透明な箱に閉じ込めてあるゆっくり魔理沙であった。 「もし?この揚げ饅頭はあの饅頭屋で作っているんですか?」 自分と同じように揚げ饅頭を買った人間に聞いた。 「いんや、なんでもあの饅頭屋に隣接する工場で作っているらしいよ。まぁ作り方までは知らないがね。」 「どうもありがとうございます。」 家路に付く途中、その女性は独り言をつぶやいた。 「うふふふふ、いいこと聞いたわ」 金髪の女性は不敵な笑みを浮かべ森の中へ消えていった。 End 作成者:ロウ 後書き 最後まで読んでいただきありがとうございます。 前作の“ゆっくり霊夢の生涯”で生き別れたプチゆっくりたちの結末を書かせていただきました。 もう気が付いている方もいらっしゃるかもしれませんが、今回のSSは宮沢賢治の注文の多い料理店をモチーフに 作成いたしました。まぁモチーフと違い料理されて食べられてしまうんですけどね^^;。 東方のキャラが0人というのは寂しかったので、勝手ながらアリスがゆっくり加工場の存在を知った時という設定 を入れさせていただきました。 作成するに当たり、改めて加工場を書いた方がいかに神がかっているかを痛感いたしました。 とりあえず頭の中に浮かんだネタは一通り出し切りました。 アイデアさえ浮かべば次回作を書きたいと思います。と言いながらも文章を推敲している間に紅魔館を舞台にした ゆっくりいぢめがなんとなく頭の中に浮かんできてしまいました。(もう病気ですねw) 私のような初心者が書いたSSでも読みたい!という人が一人でもいるならゆっくりですが書きたいと思います。 個人的には漫画を描きたいのですが、幼少の頃から画力が絶望的なのであきらめています;; 念のためゆっくり達が入った部屋の説明をしておきますね。 洗浄 → 乾燥 → 小麦粉まぶし → とき卵づけ → 揚げ ちなみにSSの通りに揚げ饅頭を作ってもおいしく出来上がるかは一切責任を持ちませんのであしからず。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2392.html
前 「ゆ~♪ ゆ~♪ かわいい~あかちゃん~♪」 「おかぁしゃんのおうちゃ、しゅごくゆっくちできりゅよ!」 「もっちょ! もっちょうちゃって!」 「今日はこれでおしまいだよ。ゆっくり寝てね!」 「わかっちゃよ!」 「おやちゅみなちゃい!」 産まれて来た赤ちゃん達。 れいむに似たおちびちゃん。 まりさに似たおちびちゃん。 思ってたとおり、すごくゆっくりした良い子達ばかりだよ。 眠ってしまった赤ちゃん達の顔を眺めながら、れいむは幸せに満ちていた。 まりさに捨てられた時は死ぬ事も考えたが、そのたびにお腹の中の赤ちゃんが動いた。 まだ生きたい。 外に出てゆっくりしたい。 お母さんとゆっくりしたい。 まるでそう訴えるように、何度も激しく胎動した。 れいむは結局死ぬことを諦め、赤ちゃんを産む決意を固めた。 この子達を産んで良かった。 死ななくて本当に良かった。 今なら心から、そう思う事が出来る。 赤ちゃんが産まれて、必要な餌の量は格段に増えた。 いつも朝早くに起きて、餌を取りに行かなければならない。 れいむは今、三箇所のゴミ集積所を回っていた。 日の空く事を考えると、一箇所で集まる量だけでは、とても家族全員の食料を賄いきれないのだ。 だが当然、後の方になるほど、他の生物とかち合う危険性が増える。 それでもれいむは、赤ちゃん達の存在を心の支えにして、危険の中を掻い潜っていた。 れいむは生ゴミの無い日に狩りもしていた。 土手を走り回って昆虫を捕まえ、川辺の小石の下からは川虫を捕まえる。 川岸に大きな魚が打ち上げられていた事もあった。 二日分に値する食料。 あれから毎日のように川岸をチェックしている。 だが残念な事に、今のところその姿はない。 れいむは公園にも通っていた。 最初は、まりさがいるかもと思い避けていたのだが、ご飯の事を考えると背に腹は変えられない。 公園の大きな木の下には、食べられる木の実が落ちているのだ。 いつも入り口から覗き込み、まりさがいない事を確認して中に入った。 ハトのおじさんには、よくお世話になった。 その場で食べずに持ち帰っているのだが、おじさんは気にしてはいないようだった。 ただ、最近もう一人の子が一緒じゃないねと言われた時、れいむは何故だかすごく悲しくなった。 今日は赤ちゃん達と、お家の前でゆっくりしよう。 そう考えたれいむは、一回り大きくなった赤ちゃん達を、巣の外へと連れ出した。 初めて見る外の風景に、赤ちゃん達は大はしゃぎ。 目の前に広がる世界を、思う存分跳ね回り堪能する。 ここなら、どれだけ跳ねても頭をぶつける心配はない。 ここなら、狭く低い天井等ありはしないのだから。 「おかぁしゃん! おかぁしゃん! ばったしゃん、ちゅかまえちゃよ!」 「おねぇしゃん、しゅご~い! しゅご~い!」 「まりさは狩りが上手だね。お母さんにも教えてね」 「ばったしゃんは、はにぇるから、とまっちぇるとき、はにぇればいいんりゃよ!」 「れいみゅもやりゅ! れいみゅもやりゅ!」 姉まりさを追いかけて、妹れいむも一緒にバッタを探し始める。 しばらくすると、ちゅかまえちゃたという元気な声が聞こえてきた。 今度は妹れいむが捕まえたようだ。 すぐ後から聞こえてくる、む~ちゃむ~ちゃちあわちぇ~という幸せの声。 そんな妹れいむの様子を見て、姉まりさは負けじとバッタを追い回す。 二人はまるで競うように、バッタを捕まえては口に運んでいった。 もうご飯が取れるなんて、ほかの赤ちゃんにはマネできないね。 きっとれいむの赤ちゃんが、ゆっくり一ゆっくりな赤ちゃんに違いないよ。 せいかくには、ほかの赤ちゃんの三倍はすごいよ。 れいむの餡子の中に広がる親馬鹿全開思考。 そんな幸せなゆっくり的物思いは、突然現れた人間の声によって破られた。 「見て見て! ゆっくりの赤ちゃんだ!」 「なにこれ、マジかわいいんですけど!」 そう口にした人間の行動は素早かった。三倍どころの話じゃなかった。 瞬きする間に、赤ちゃん達は人間の手の上に乗っかっている。 ああ、れいむは何て餡子脳なんだろう。 人間さんがこんなに近くまで来ているのに気づかなかった。 ゆっくりのゆっくりした性格を、今ほど恨んだ事はない。 ゆっくりした結果がこれだよ! 人間さんはやっぱり油断ならないよ! ちがうちがう、そうじゃないよ。今はそんな事考えてる場合じゃないよ。 赤ちゃん達を取り戻さないとね。今すぐにね。 れいむは人間から赤ちゃんを取り戻す決意を固めた。 「お、おお、おねーさん達! ゆっくり赤ちゃんをはなしてね! ゆっくりいそいではなしてね!」 「これって、どうすればいいの? ゆっくりすればいいの?」 「わかんないよね。不思議だよね」 「い、いいい、いいから、れいむに赤ちゃんかえしてね! 赤ちゃんいやがってるよ!」 「えっ? そうでもないよ?」 「むしろ、よろこんでるよ?」 「わぁ~い、おちょらをちょんでりゅみちゃ~い♪」 「ゆ~ん、しゅごきゅちゃかいよ~♪」 「どぼぢでよろごんでるのおおぉおおおお!?」 白目を剥き叫びながらも、れいむはゆっくりと理解していた。 ああ、赤ちゃん達は嬉しいのだ。 自分達の届かない視点から見える世界を、ただ純粋に喜んでるだけなのだ。 きっと自分だって、大はしゃぎしてしまうに違いない。 だってあんなに高い場所にいるのだから。 それがゆっくりの生き様だよね。 そう考えると、何だか赤ちゃん達が羨ましくもある。 思っていたほど悪い人間ではないのかも知れない。 「ゆぅ……おねーさん達は、ゆっくりできる人なの?」 「よくわからないけど、ゆっくりできるよ」 「うん、ゆっくりできるよね。よくわからないけど」 よくわからないのはこっちだよとも思ったが、うかつに喋って人間を怒らせるわけにはいかない。 今のところ、赤ちゃんに害を与える様子はない。 ひょっとすると、本当にゆっくりできる人間なのかも知れない。 せっかくだから、少し赤ちゃんと遊んでもらおうか? 気がすめば帰るだろう。れいむはそう考えた。 「ゆっ! れいむ、ゆっくり理解したよ。いじめないなら、赤ちゃんとゆっくりしてもいいよ!」 「やった~! 私、この赤いリボンの子もらうね」 「じゃあ黒い帽子のまりさは、私が持って帰るね」 「どぼぢでもっでがえるのおおおぉおおおおおおおお!?」 本日二度目の白目を剥き、れいむはただただ絶叫した。 何を言ってるの? 馬鹿なの? この人間達は馬鹿なの? 会話になってないよ。ぜんぜん会話になってないよ。 もうお家に帰って寝ちゃいたいよ。 でも、赤ちゃんは置いてはいけないよ。 れいむ頑張るよ。お母さんだから頑張るよ。 れいむは最後の気力を振り絞り、人間達に訴えかける。 「お、おおお、おねーさん達! 赤ちゃんはれいむの赤ちゃんなんだよ? ゆっくりするなら、れいむの前でゆっくりしてね!」 「えー、でもうちって大きいゆっくりは飼えないし」 「うちはお父さんがれいむアレルギーでちょっと……」 「どぼぢでれ゛いぶまでいぐごどにな゛っでるのおおおおぉおおお!?」 三度目の絶叫で、れいむは自分の中にある餡子を見た気がした。 もうこの人間達と話すのは嫌だよ。 ハトのおじさんはこんなじゃなかったよ。 まりさのとこのお兄さんはこんなじゃなかったよ。 だいたい人間と一緒じゃゆっくり出来ないよ。 しかし、れいむは知っていた。 この世界で本当にゆっくり出来るゆっくり。 それは人間に飼われているゆっくりなのだ。 人間に満ちたこの世界で、他にゆっくりがゆっくり出来る場所などない。 自由はゆっくりをゆっくりさせない。 れいむは赤ちゃん達にゆっくりして欲しかった。 れいむも本当はわかってるんだよ。 人間に可愛がられてるゆっくりは、すごくゆっくり出来るよ。 あんなだったけど、まりさはすごくゆっくり出来てたよ。 公園で見たゆっくりも、みんなすごくゆっくり出来てたよ。 おねーさん達と一緒に行けば、赤ちゃん達もすごくゆっくり出来るのかな? 「あ、あのね? おねーさん達……本当に赤ちゃんを可愛がってくれるの……?」 「うん! ちょうど、ゆっくり飼いたいって話してたから!」 「うちも、まりさなら大丈夫。れいむは無理だけどね」 れいむはこっそりと赤ちゃん達の様子を窺い見る。 はしゃぎ疲れてしまったのだろう。 白目を剥き続けた親の気苦労も知らず、赤ちゃん達は手の平の上でぐっすりと眠っている。 ゆ~ん、赤ちゃん達、すごくゆっくりしてるよ。 まるで、れいむの側でゆっくりしてる時みたいだね。 赤ちゃん達、そこですごくゆっくり出来るんだよね? おねーさん達と一緒なら、すごくゆっくり出来るんだよね? これまでみた人間と飼いゆっくりの姿を、れいむはもう一度強く思い返した。 人間は飼いゆっくりに優しかった。 人間はすごく美味しいご飯を作る事が出来た。 人間は暖かい家に住み、そこはまさにゆっくりプレイスだった。 飼いゆっくりはどれも美しかった。 飼いゆっくりはだれもが健康そのものだった。 飼いゆっくりはどんな時も、幸せに包まれた顔をしていた。 飼いゆっくりじゃない自分の子達が、飼いゆっくりになれるかも知れない。 母親として、これ以上してやれる事はないはずだ。 れいむは餡子を吐く思いで、その言葉を唇で紡いだ。 「おねーさん達……赤ちゃんね……連れてってもいいよ……」 「本当にいいの?」 「お母さんはダメだよ?」 「れいむは一人でもゆっくり出来るよ! だから気にしないでいいよ!」 一緒に行けるものなら、れいむも赤ちゃん達と一緒に行きたかった。 だがれいむは理解している。この女の子達が必要としているのは、れいむの赤ちゃんだけなのだ。 れいむは赤ちゃん達の幸せを、自分の我侭で壊したくなかった。 れいむに似た赤ちゃん、れいむよりずっと可愛くなれるよ。良かったね。 まりさに似た赤ちゃん、まりさみたいに綺麗になってね。でも性格は似ないでね。 れいむは心の中で、赤ちゃん達とのお別れを済ませた。 ぐっすりと眠っているうちに行ってもらいたかった。 目を覚ました赤ちゃん達とお別れするのは辛かった。 「おねーさん達、赤ちゃん達が起きないうちに、ゆっくりしないでおうち帰ってね! 赤ちゃん達とゆっくりしてね!」 「うん、ゆっくりするよー」 「ありがとねー」 「ゆっくりしてね!」 手の平に赤ちゃんを乗せたまま、女の子達が去っていく。 遠ざかる二人の楽しげなお喋りが、れいむのところまで聞こえてくる。 赤ちゃんの声は聞こえてこない。まだ眠っているのだろう。 起きたられいむがいなくて泣いちゃうかな? それともすぐに忘れちゃうのかな? 今更考えても仕方のない事だ。 未練を振り切るかのように、れいむは身体をブルブルと震わせた。 不思議と涙は出てこなかった。 れいむのゆっくりは、もうほとんど残されていない。 赤ちゃん達と一緒に、身体の中から大切な餡子が転がり落ちてしまった。 れいむはたまに、そう感じる事がある。 ぽっかりと空いた空洞を埋めるように、れいむは以前と同じ生活を続けていた。 身体が赤ちゃんのいた頃と同じ生活リズムを求めている。 今日も朝早くに目が覚めた。ご飯を取りに行かなくてはならない。 本当のところ、ご飯なんて充分に残っている。文字通り腐る程ある。 それでも三箇所の餌場を、以前と同じコースで回る。 一つ目の餌場に着いた。 今日はごちそうの日らしい。 まだ半分近く残った人間のお弁当が、無造作に捨てられている。 もう持ち帰る必要は無い。そのまま、もそもそと身体の中に収める。 二つ目の餌場に着いた。 いつもと変わり映えのない風景だ。 近づいてみると、骨だけになった魚が転がっている。 空っぽの眼窩がこちら見ている気がする。これは犬さんにでもあげよう。 三つ目の餌場に着いた。 そこには先客の姿があった。野良ゆっくりだ。 れいむはもう食べたからいらないよ。ゆっくりしていってね。 心の中でそう呟き、ゆっくりと餌場に背を向ける。 「れ、れいむ! やっぱり、れいむなんだぜ!」 聞き覚えのある声だ。誰だっただろう? れいむがゆっくりと餌場に振り返る。 先ほどの野良ゆっくりが、こちらへと跳ねてくる。 それは変わり果てたまりさの姿だった。 これは本当に、あのまりさなのだろうか? れいむは唖然としながら、目の前のゆっくりに目を走らせた。 真っ黒な帽子は皺だらけで、鍔が所々欠けている。 得体の知れないゴミの絡まった髪の毛は、脂ぎって土色に変色している。 肌はカサカサに乾燥し、今にもヒビ割れてしまいそうだ。 頬はゲッソリと痩せこけて、眼窩が暗く窪んでいる。 満足に食事や睡眠が取れてないのかも知れない。 「あまりジロジロみられると、てれるんだぜ~」 照れているつもりなのか、身体をくねくねと左右に揺らしている。 なんと醜悪なゆっくりなんだろう。 まりさは自分を捨てた最低なゆっくりだ。 だが、その美しさだけは本物だった。 赤ちゃんにまりさの面影を見た時、密かに感謝をしたくらいだ。 そのまりさが目の前のゆっくりだなんて、れいむにはすぐに信じる事が出来なかった。 「本当にまりさなの?」 「まりさにきまってるんだぜ! うたがうなんてひどいんだぜ!」 疑うなと言う方に無理がある。 似ても似つかないその姿は、そこらの野良ゆっくりの方がまだマシだ。 だが、やはりこのゆっくりは、まりさなのだろう。 このどうでもいい性格が、これはまりさだとれいむに訴えかけている。 「……仮にまりさだとして、まりさはれいむに何の用なの?」 「れいむ~、まりさをたすけてほしいんだぜ~。こまってるんだぜ~」 「どうして、れいむが助けないといけないの? 助けて欲しい時に捨てたクセに? 馬鹿なの? 死ぬの?」 「そんなつめたいこといわないでほしいんだぜ~。こうなったのには、れいむにだってせきにんはあるんだぜ~」 「聞き捨てならないよ。ゆっくり説明してね!」 頬に空気を溜め込んで、身体を大きく膨らませ威嚇してみせるが、本当は怒ってなどいない。 そんな気力はとうに失せていた。 ただ、まりさがこうなった理由にだけは興味があった。 叱られた子供のように、まりさがその身に起こった事をぽつぽつと語り始める。 れいむに会うため、毎日のように公園に通っていたまりさ。 ただし、いつもお兄さんと来ていたわけではない。 まりさはお兄さんの目を盗み、一人で公園に来る事もあった。 これは、れいむも承知していた事だ。 愛ゆえの行動だと、バカバカしいほどに信じていた。 だがまりさは、あれで外に遊びに行く味を占めていたらしい。 れいむを捨てた後も、まりさは家を抜け出していた。 初めはこっそりと、公園で他の飼いゆっくりと遊ぶ程度だった。 しかし仲の良いゆっくりが出来ると、少しでも長く一緒にゆっくりしていたくなる。 ある日まりさは、お兄さんの帰宅時間も忘れて、ゆっくりし過ぎてしまった。 慌てて家に戻ると、そこには、すでに帰宅しているお兄さんの姿がある。 必死になって謝りながらも、怒られる、もう外で遊ばせてもらえない、まりさはそう思い困り果てた。 だが、お兄さんは優しかった。愚かしいほどに優しかった。 冒険したい年頃なのだろうと思い、楽しかったかい? お友達が出来て良かったね等と優しい言葉をかけてしまった。 これが、まりさの増長を招いた。 お兄さんが家にいる間でも、堂々と外で遊べる。 好きなだけ外でゆっくり出来る。 怒られないのだから問題ない。 まりさはそう理解した。 まりさの行動は、徐々にエスカレートしていく。 お兄さんの帰宅時間との兼ね合いで、これまで近所の公園までだった行動範囲。 しかし自由を手に入れた今、まりさを縛るものはない。 他の飼いゆっくりの家に押しかけ、心ゆくまでゆっくりする。 まりさは飼い主が留守になる事の多い飼いゆっくりを狙った。 飼い主がいなければ、何をしたって咎められる事はないからだ。 そう、好きなだけ、すっきりが出来る。 まりさは普段、れいむの事を思い出したりしなかったが、すっきりの記憶だけは何度も反芻していた。 れいむとしたすっきりは最高に気持がちよかった。 薄汚い野良ゆっくりとのすっきりでも、あの恍惚感が得られるのだ。 自分と同じ飼いゆっくりとなら、もっとすごいすっきりが出来るだろう。 まりさはそう考えると、居ても立っても、すっきりしたくて堪らなかった。 だが公園ですっきりしようとすると、相手の飼い主に怒られてしまう。 なら、どうすればいい? 答えは簡単だ。飼い主のいない時にすっきりすればいい。 しばらくすると、まりさは複数の飼いゆっくりと、すっきり関係を持つようになっていた。 1日に1すっきりは当たり前。多い日は3人以上とすっきりする事もあった。 当然、帰宅時間は遅くなる。夜半過ぎまで家に帰らない事もあった。 それでもお兄さんは怒らなかった。 まりさが家に帰らない日があっても、お兄さんは怒らなかった。 だが、そんなまりさのすっきり生活も、ある日終焉を迎える事になる。 相手の飼いゆっくりの一人が、にんっしんしてしまったのだ。 れいむの場合は野良ゆっくりだった。 しかし今回は飼い主のいる飼いゆっくり。 怒りが有頂天な飼い主が、お兄さんの家に怒鳴り込んできた。 ひたすら平謝りさせられた挙句、ごっそりと養育費まで取られたお兄さん。 ここまで来ると、さすがのお兄さんも、自分がどんなに馬鹿だったのか気がつく。 まりさを見つめるお兄さんの目は、冷たい輝きに満ちていた。 その時、まりさは言葉ではなく本能で理解する。 このままここにいたら殺される。 まりさは唯一の出口を塞がれる前に、お兄さんの家から逃げ出した。 自分に都合の悪い箇所を端折りながら、まりさはれいむに説明した。 つまりは殆ど端折られた。 れいむが知ったのは、公園に行き過ぎたせいでお兄さんに殺されそうになり、まりさが家を飛び出した事くらいだ。 「おうちに帰れば?」 「そ、そんなことしたらころされるんだぜ! まりさはまだしにたくないんだぜ!」 「じゃあ、まりさはどうしたいの?」 「れいむにたすけてほしいんだぜ~。そうだ! まりさがれいむのおうちにすんであげるんだぜ!」 どこをどうすれば、この発想に辿りつくのだろう? まりさは自分を置いて行った時の事を、まったく覚えてないのだろうか? 実際、まりさはろくに覚えていなかったが、呆れ返ったれいむには、かける言葉が見つからなかった。 「はやくれいむのおうちにあんないするんだぜ! ふたりでゆっくりするんだぜ!」 「まりさは本当に馬鹿なの?」 「そんなことないんだぜ! ゆっくりかんがえたけっかがこれなんだぜ!」 ああ、やっぱり馬鹿なんだ。 れいむはこんなのに餡子をときめかせた事のある自分が、心底嫌になってきた。 このまま、まりさを振り切って、巣に帰る事は出来るだろう。 まりさの身体はボロボロだ。とても自分に追いつけるとは思えない。 だが、しかし……自分が捨てれば、まりさは多分、いや必ず死んでしまう。 別に死んでもかまわないのだが、れいむにはそれすらも、どうでもいい事に思えた。 どうせ巣は空いているのだ。 赤ちゃん達が去ってから、巣の中はれいむ一人で住むには広すぎた。 まりさが一人増えたくらいで、どうとなるものでもない。 なら、まりさがいれば、赤ちゃん達を失った悲しみが埋まるのだろうか? そんな事、考えるまでもない。 まりさはまりさだ。最低なゲスゆっくりだ。 赤ちゃん達の欠片にも値しないだろう。 だが、それでも……れいむは、まりさを巣に連れ帰る事にした。 「わかったよ。れいむのお家で勝手に住めばいいよ」 「さすが、れいむなんだぜ! あいしてるんだぜ!」 大喜びで、れいむの周りを跳ね回るまりさ。 その姿を見て、れいむは何も感じなかった。 まりさとの生活が始まった。 まりさは当然のようにれいむが持ってきたご飯を食べると、当然のようにどこかへ遊びに行った。 まりさがどこに行くのか、れいむは全く気にならなかった。 暗くなると、まりさは巣に帰ってきた。 そしてれいむの取っておいたご飯を当然のように食べると、当然のようにすっきりを求めてきたが、それは丁重にお断りした。 まりさとすっきりすれば、また赤ちゃんが出来るだろう。 可愛い赤ちゃん。 でもそれは、今頃人間の家でゆっくりしてる、あの赤ちゃん達ではない。 れいむの思考は、ゆっくり成らざる物へと変化していた。 れいむにはゆっくり出来る物が残っていなかった。 ある日、れいむが巣に戻ってくると、そこにはまりさともう一人のゆっくりがいた。 だらしない表情をしたまりさが、そのゆっくりに擦り寄っている。 初めて見るゆっくりなのに、その名前が何故かれいむの頭に浮かんできた。 あれは、ぱちゅりーだ。 「どうしたの、まりさ? 何でぱちゅりーがいるの?」 「ぱちゅりーはいえがなくてこまってたんだぜ。だからまりさのおうちにしょうたいしたんだぜ!」 いつの間にか、この巣はまりさのお家になっていたらしい。 大方このぱちゅりーは、まりさがすっきり相手として連れ帰って来たのだろう。 毎晩お断りしてたから、まりさはすっきりしたくて堪らなかったに違いない。 れいむはそう考えたが、怒りはどこからも沸いて来なかった。 陶器人形のような表情で、目の前にいる二人を眺める。 「ところでれいむ。ごはんはまだかなんだぜ?」 「ご飯? ご飯はこれでも食べるといいよ」 れいむは頬にしまっていたご飯をペッと吐き出す。 さっき巣の前で何となく捕まえたバッタだ。 何となく捕まったばっかりに、バッタはまりさに食べられてしまう。 目の前のバッタを見て、れいむはバッタと自分のどちらがついてないのだろう? などと考えていた。 「ちょっとまつんだぜ、れいむ。これじゃはらのたしにもならないんだぜ!」 「じゃあ自分で取ってくれば?」 「まりさよりれいむのほうが、かりがうまいんだぜ! それにまりさはいっかのだいこくばしらだから、どしんとかまえておくべきなんだぜ!」 一家の大黒柱。れいむの親まりさは、まさにそう呼ぶべき存在だった。 自ら先頭に立ち家族を支え、そして真っ先に人間に捕まった。 それに比べて、この新たな自称大黒柱は、何と頼りない事だろう。 この巣の中には何も残っていない。れいむの中にも何一つ残っていない。 れいむはゆっくりと巣を後にしようと二人に背を向けた。 「やっといくきになったかなんだぜ! びょうじゃくせっていのぱちゅりーのぶんもたのむんだぜ!」 「むっきゅう、じびょうのぜんそくがつらいわ」 「何言ってるの? れいむはご飯を持って来ないよ。ゆっくり理解してね」 「れいむこそ、なにいってるんだぜ? ごはんをもってこないなら、れいむはこのいえにすむしかくがないんだぜ!」 「それでいいよ。そのお家は二人にあげるから、勝手に使ってね」 れいむは巣の外に出た。 綺麗な夕日が空を赤く染めていた。 後ろの巣穴から、まりさが自分を呼ぶ声が聞こえる。 その声が、れいむのすぐ後ろまで近づいてくる。 「れいむ! さっさと、ごはんもってくるんだぜ!」 ポスンとひどく呆気ない音がして、れいむはまりさに突き飛ばされていた。 土手は傾斜だ。れいむの丸い身体が土手を転がり落ちていく。 この先には川が流れている。 ずっと住んでいた巣の前である。 れいむは誰よりも先に、自分に迫っている危機を感じ取っていた。 足に力を入れれば、今なら方向を変える事も出来るだろう。 だが、れいむは、このままでいいと思った。 最初に家族を失った。これは人間が連れて行ったせいだ。 その次に人間に飼われていたまりさを失った。これは赤ちゃんが出来たせいだ。 赤ちゃんを失った。これは自分のせいだ。 自分が良かれと思い決断したせいだ。 だが、これだけは誇りに思っていいはずだ。 赤ちゃん達は人間とゆっくりし、立派なゆっくりに成長するだろう。 失った物は多いが、自分は未来の幸せを得る事が出来た。 赤ちゃん達、ゆっくりしてるかな? れいむの意識が水に溶けた。 ここは静かな森の中──ではなく、都心に程近いベッドタウンの一画。 川原の土手に掘られた巣の中に、あるゆっくりの家族が住んでいた。 まりさとぱちゅりー二人きり。子供はまだいないが、ぱちゅりーの頭には茎がはえていた。 きっと後数日もすれば、可愛い赤ちゃんが産まれるだろう。 だが、二人にそんな時間は残されていなかった。 「わんわんわん!」 「い、いいいぬさん、やめるんだぜ! たべるんなら、ぱちゅりーのほうをたべるんだぜぇえええ!」 「むっきゅううぅうう!! ま゛りざなに゛いっでるのおおぉおおおお!?」 土手でゆっくりを見つけた犬さんことポチはこう考えた。 後ろの奴は何だか動きがにぶそうだ。まずはこのよく動く方を何とかしよう。 ポチの中で野生が弾けた。 逃げるまりさに飛び掛り、そのまま上から地面に押さえ込む。 これで相手は簡単に逃げられない。 今度は両手の爪をしっかり食い込ませ、動く気力を削いでおく。 「やべるんだぜえぇええ!! ま゛りざはおいじぐないんだぜえぇええええ!!」 何やら叫んでいるが、ポチにはそんなこと関係ない。 帽子が取れてガラ空きになった頭頂を一齧り、二齧り。 抉られた傷痕から、真っ黒な餡子が噴出する。 「ま゛りざのあ゛だま゛があ゛あぁあああああ!!」 あまりの痛みに、まりさはポチの抱擁の中で暴れた。 こいつ動くぞ! ポチはゆっくりのポテンシャルに戦慄した。 しかし、こちらが優勢なのに変わりはない。ポチは負けじと、そのまま頭に齧り付く。 饅頭の皮だけあって、あまり噛み応えがない。じじぃのくれる犬用ガムの方がまだ気合いが入っている。 噛んでは千切り、噛んでは千切り、後頭部の餡子を剥き出しにしていく。 顔面だけ残し抉り取った所で、やっとまりさの動きが止まった。 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……ゆ゛っ……」 「わんわんわん!」 どうやらまだ生きているらしい。驚いたポチは、念のためにもう二齧りし、まりさの息の根を完全に止めた。 次のターゲットは、白目を剥いてガクガク震えてるぱちゅりーだ。 ポチは相手がまだそこに突っ立ってた事を犬の神様に感謝した。 一気に間合いを詰め、まずは頭上をふらふら揺れている茎を噛み千切る。 「ぱぢゅり゛ぃのあがぢゃんがあぁああああ!!」 思ったとおりだ。もう一匹になかったアレは、何やら大切な物だったらしい。 これで勝つるわん! ポチは勝利を確信し、微動だにしない相手の顔面に齧り付く。 その時、ポチに電流走る。 さっきのと味が違う! うっめ! めっちゃうっめこっち! じじぃのめしよりよっぽどうめぇ! パネぇわんわんわん。 ポチはガツガツとぱちゅりーに貪り付いた。まさに犬食いである。 だが、そんなポチの幸せも、長くは続かなかった。 「ぽーち、ぽーち! まったくポチは足が速いのぉ。ワシを置いていかないでおくれ──ってナニ食っとんのじゃあああああ!!」 「きゅうぅん……」 飼い犬を放して散歩させるという暴挙をしでかしていた飼い主が、ゆっくりを貪り食うポチを発見したのだ。 ポチは頭をペシペシ叩かれて、思わず尻尾をクルっと丸める。反省の合図だ。 これを見た飼い主はポチを撫でると、ふぅと大きくため息をついた。 「久しぶり散歩コースをもどした結果がゆっくりじゃよ! ポチ帰るぞ! そんなもん食ったら腹壊すだろうに」 「わんわんわん!」 一人と一匹が土手を後にする。 後にはただ静寂とゆっくりの屍だけが残された。 おわり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1920.html
ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、今日もゆっくりと行われるのだ。 さて。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 永琳の目の前に、四匹のゆっくりれいむがいた。 どこからどうみてもただのれいむで、実際その通りなのだが、ちょっとだけ違うところがある。 この四匹のゆっくりは、産まれた直後に親から引き取り、永琳が自ら管理・育成したものだ。 ちなみに親は子供達を取られることに激しく抵抗を示したが、ちゃんと育てると言ったらすぐ納得してくれた。 純粋なのか薄情なのか。それとも単に『子を取られる親』のポーズをしていただけなのか。 いずれにしろろくなものではない。今はどこかの部屋でゆっくりしていることだろう。 閑話休題。 この四匹のれいむは、産まれたときからずっと同じように育てられてきた。 同じ量の餌を与え、同じ量の運動をさせ、同じ時間に眠らせ、同じ時間に起こされた。 その甲斐あってか、四匹のゆっくりは全く同じ体型・重量を持つゆっくりとなった。 無論、永琳の目的はただ同じゆっくりを育てることにあったのではない。 これからこの四匹を使って、とある実験を行うのである。 まず、実験の前段階として、永琳はれいむ達に簡単なテストをしてみた。 「今日はみんなにこれをあげるわ」 と、永琳はれいむ達に、赤、青、黄、緑の色違いのリボンをつけてあげた。 「ゆゆ! れいむかわいいよ!」 「れいむもにあってるよ! おしゃれさんだね!」 「おねえさんありがとう! ゆっくりかんしゃするよ!」 「またなにかちょうだいね!」 最後に若干厚かましいことを言ってきたが、それを気にした様子もなく永琳は笑ってみせた。 「うふふ、でもずっとつけてると髪にクセがついちゃうかもしれないから、晩ご飯の前に一度外しましょうね」 「「「「ゆっくりそうするよ!!!!」」」」 四匹は唱和して、その日も(本人達は自由に遊んでいるつもりだが)永琳が用意した運動メニューに沿って過ごした。 晩ご飯を食べたあと、永琳は前もって予告していた通りにリボンを外した。 「もっとつけていたかったよ!」 「ごめんなさいね。また明日つけてあげるわ。そのかわり、ちょっとみんなで遊びましょうか」 と永琳は、三つの黒い箱を持ってきた。ちょうどれいむがぴったり収まるサイズだ。 「なにするの?」 「当てっこよ。今から、三人に箱をかぶせて、私が一つずつ箱をどかすから、残った一人がそれが誰か当てるの。いい?」 「「「「ゆ! おもしろそう! やるやる!」」」」 早速、永琳は四匹のうち三匹に箱をかぶせた。普通ならここで騒ぎ立てたりするのだろうが、新しい遊びということで好奇心が勝ったようだ。 「それじゃあ行くわよ。……はい!」 待ち構えていた一匹の目の前で、永琳は箱を外した。三十秒ぶりにゆっくり姉妹が対面する。 「これは誰かしら? さっき着けていたリボンの色で答えてね」 「ゆ! わかるよ! きいろのりぼんをつけてたれいむだよ!」 得意げに、青いりぼんをつけていたれいむは答えた。 「正解! よーし、それじゃあ次に行きましょうか──」 その後、残りの二匹についても、れいむは正解してみせた。 難易度を上げて、箱にいれた三匹のれいむをシャッフルしても結果は同じだ。 念のため残りの三匹についても同じことをしてみせたが、やはり全員全問正解だった。 もちろん、自分がつけていたリボンの色も覚えている。 永琳から見ても同じ顔にしか見えないゆっくりだが、どうやら個体識別はちゃんとできているらしい。 「すごいすごい! あなた達、ちゃんと姉妹の顔が分かるのね。判子絵師が描いた立ち絵みたいな均等品質のくせに」 「あたりまえだよ! れいむたちはかぞくだもん!」 「かぞくのかおをまちがえるわけないよ!」 「ねー!」 「ねー!」 何気にバカにしていた表現にも気づかず、気をよくするゆっくり達。 ……ところで、永琳からも見分けがつかないほど同じ顔をしたゆっくり達なのに、何故永琳はれいむの答えが正解だと分かったのか。 それは実に単純な話で、リボンを外したあとのれいむ一匹一匹の動きを、完全に記憶していただけのことである。 そんな天才薬師八意永琳は、いよいよ今日の実験の本番に取り掛かった。 「正解したみんなへのご褒美に、今日は特別な晩ご飯を用意したわ」 「ゆぅん! はやくもってきてね!」 「おなかすいたよ! ゆっくりはやくね!」 口々にご飯をせがむゆっくり達を、まぁまぁ、と永琳はなだめる。 「そう慌てないで。何しろ特別なご飯だもの。食べ方もちょっと特別なの。頭のいいあなた達ならわかるわよね」 「! うん! れいむたちあたまいいからね! ちゃんとわかってるよ!」 「ゆっくりまつよ! だからはやくね!」 永琳はにっこり笑うと、さっきと同じ黒い箱にれいむを四匹とも入れた。 ただし今回の箱は、れいむの正面と左側に、同じ大きさの穴が開いている。 「ゆ! せまいよ! なにもみれないよ!」 「ゆっくりだしてね! ごはんちょうだいね!」 みじろぎも出来ないほど狭い箱に押し込まれて、ゆっくり達が抗議の声を上げた。 「だから慌てないで。これからみんなをごはんのあるところに連れて行くの。 ちょっと準備が大変だけど、ちゃんとみんな食べられるから安心してね。 口のところにある穴からストローが差し込まれるから、それを吸えばご飯がでてくるわ」 「ゆ、そういうことならゆっくり待つよ!」 わくわくとした気配で、ゆっくり達はご飯が出てくるのを今か今かと待ち続けた。 「…………」 永琳は無言で、ゆっくり達の左側面の穴に、穴と同じぴったり太さの管を差し込んだ。 管は、箱の中のゆっくりの皮を貫いて、その先端を二センチほど体内にめりこませた。 「ゆぎっ!? な、なにかはいっでぎだよぉ?!」 構わず、永琳は残り三匹についても同様の処理を行う。 「ゆぎゃっ!」「ざざっでる! へんなものがざざっでるよぉ!」「ぬいでぇぇぇ!」 さっきまでとは打って変わって悲鳴が上がるが、永琳はそれを笑顔で封殺する。 「ごめんなさいね。しっかり固定しておかないと危険かもしれないの。 痛いけどゆっくり我慢してね。そうでないと、ずっとゆっくりできなくなるかもしれないわよ?」 「「「「ゆっ……ゆっぐりがまんずるよ!!!!」」」」 ゆっくりできない、という言葉が効いたのか、ゆっくり達は素直に痛みに耐えた。 「うん、あなた達は強いゆっくりだわ。それじゃあ今から、ご飯をあげるわね。口を開いていてね」 そして永琳は、四つの箱を正方形に並べた。 あるゆっくりの側面の管は、隣のゆっくりの正面の穴に宛がわれている。 そのゆっくりの側面の管は、やはりその隣のゆっくりの正面の穴へ── 全方向から同時に押し込めば、箱とゆっくりが四本の管で円状に連結されることになる。 (そう……これこそ『ムゲンゆっくリング』!!!) カッ!と心の中に稲妻を轟かせ、永琳は天才的なネーミングセンスによってこの実験に名を与えた。 天才とは凡人には理解できないものである。 永琳は鈴仙とてゐとついでに適当な兎に手伝わせ、四方向から箱を押し込む。 「「「「ゆっ!!!!」」」」 ゆっくり達の口の中に管が差し込まれる。 狭いところに押し込まれ、痛い思いをしてまでようやくありつけたご飯だ。ゆっくり達は、それぞれ思いっきり管を吸った。 そして口の中に甘みが広がり──同時に、自分の身に起きた異常を悟る。 「「「「!!??!?!!?!!?!?」」」」 自分の中身が、さっき痛みを感じた場所からどんどん流れ出ていく感触。 あんこの量が生死を左右することを、ゆっくりは本能的に知っている。だからこそ、自らに迫りつつある死の気配を、れいむ達は敏感に感じ取った。 そして同時に、自分が吸っているものの正体が何であるかも悟った。 抜け出すのと同じ量だけ入ってくる甘み。味わったことがないはずなのに、どこか懐かしさを感じさせる味。 それは、自分の姉妹の中身なのだと。 そして、自分の中身もまた別の姉妹に食われているのだと。 だが気づいたところでどうしようもなかった。一瞬でも動きを止めれば、その隙に自分の餡子が吸い出されてしまうのだ。 四匹のゆっくりは、最早相手が姉妹であることも忘れたように、ひたすら餡子を吸い続けた。 一匹でも力尽きれば、その瞬間に最終勝利者が決定するこの地獄のループ。 だが永琳の手によって、完全に均質に『調整』されたゆっくり達は、どれも同じ吸引力を持ち、どれも同じように疲労していった。 餡子を吸い、吸われ、吸い、吸われ── そして一時間と十五分と三十七秒が経過したとき、四匹のゆっくりは同時に力尽きた。 「……ゆっ?」 ゆっくりれいむは目を覚ました。きょろきょろと辺りを見回すと、自分以外も三匹も同時に目を覚ましていた。 「あら、起きたかしら?」 いつも聞いている声が降ってきた。 それは自分達に餌をくれる優しいお姉さんの声だった。 だが今日は、いつもと事情が違う。 「ひどいよ! れいむにれいむのあんこたべさせたね!」 「あんなひどいことするおねえさんとはもうゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないおばさんはゆっくりしんでね!」 「しね! ゆっくりしね!」 四匹分の罵声が、永琳を攻め立てた。だが永琳はただ、いつもと同じ笑みを浮かべるだけ。 「はいはいゆっくりゆっくり。大丈夫よ、もうあんなことしないから。 でも、訊いてもいいかしら」 「……なに」 警戒心もあらわに、れいむ達は上目遣いで永琳を睨みつける。 永琳は笑みを深めた。 それは氷のように冷たい笑みだった。 「──ねぇ。 自分が何色のリボンをしていたか、覚えてる?」 そう訊かれ、れいむ達は思い出そうとして、──思い出そうとして、 「「「「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?!?」」」」 四匹のれいむは、完全な恐慌状態に陥った。 「「「れ゛い゛む゛は゛だ゛れ゛な゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!????」」」」 「自らの存在を問う──哲学的ねぇ」 そこら中を転げまわるゆっくりの中で、永琳はしきりに頷いて見せた。 永琳は、ゆっくりの餡子がゆっくりの血であり肉であり、内臓器官であり、脳であることを、これまでの実験で理解していた。 通常の生物で考えれば『おかしい』作りではあるが、あえて人間の器官で表現すれば、ということだ。 また、多少の餡子が喪われても、他のゆっくりの餡子を詰め替えたり、或いは市販品の餡子を詰めてやれば、意識が回復することも分かっている。 およそ半分の餡子を喪うと死に至ることも同時に明らかになっているが、つまりそれは、餡子の量によって意識の主導権が変わるのではないかと永琳は踏んだ。 それを踏まえての今回の実験である。 一時間と十五分をかけて、ゆっくりの体内の餡子は均等に混ざり合った。体内の餡子の総量自体は全く変化させないままに。 その結果がこれである。 改めて、ゆっくりの自我の実在と、驚くべき生命力(人間で言えば脳味噌をかき混ぜられたようなものだ)が明らかになったわけだが…… (指摘されるまで気づかないなんて……これぞゆっくり脳ってことなのかしらねぇ) 全く以て飽きない実験材料だ。永琳はそう思いながら、絶叫の合唱をよそに、実験室を去った。 三日後。 鈴仙に適当に餌だけ投げ込んでおくよう指示していた永琳は、例のれいむ四姉妹の様子を見に行くことにした。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 れいむ達は、再び新たな自我を確立していた。無論、永琳のことも覚えていた。 色々聞いてみると、どうやら三日前の記憶は綺麗さっぱり消えてしまっているようだ。 だが、永琳があの四色のリボンを取り出すと、全員石像のように硬直してしまう辺り、完全に忘れたというわけではないようである。 『逃避』という高度な精神活動が行われたことに、永琳は素直に驚きつつ、次の実験のテーマを練り始めた。 (次は、ゆっくりの精神活動について、詳しく調べてみましょうか……) このゆっくり達は、後日、四匹の母親を加えてまた新たな実験が行われることになるのだが……それはまた、別の話である。 ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、明日もゆっくりと行われるだろう。 あとがき 前々から考えていたネタを、904.jpgを見た誰かに先を越される前に書いた。 反省はしていない。 あと、別に判子絵師(誰とは言わない)に恨みがあるわけではありません。むしろ好きです。イベ絵は綺麗ですし。 これ以上は年齢制限にグレイズかしら…… このSSに感想を付ける